ゴシック建築
ブルゴス大聖堂
スペイン北部、カスティーリャ・イ・レオン州ブルゴスの大聖堂。1221年にフランス…
建築家 / Architect
マエストロ・エンリケ(Maestro Enrique、1277年没)は、13世紀のカスティーリャ王国で活動した石工棟梁である。同時代の史料には「エンリケ親方」の名でのみ現れ、生年や出自を伝える記録はないが、作風からフランスで修業した建築家と推定されている。パリ近郊サン=ドニ修道院聖堂の13世紀の改築に関わった無名の棟梁と同一視する説があり、国王フェルナンド3世と、その叔母でフランス王ルイ9世の母后であったブランシュ・ド・カスティーユとの縁を通じて招かれたとも推測されるが、確証はない。
13世紀半ば、エンリケはブルゴス大聖堂の工事を率い、フランス盛期ゴシックに倣った立面と西正面の構成を推し進めた。同じ時期にはレオン大聖堂の新築も指揮したとされ、ランス大聖堂を思わせる明快な構成と大きな窓をもつレオンの聖堂は、スペインの大聖堂のなかでもフランスのレヨナン式ゴシックに最も近い作例とされる。1277年にブルゴスで没し、同地の工事はフアン・ペレスに引き継がれた。
個人の作風を示す資料は乏しく、帰属の多くは推定にとどまる。それでも、13世紀カスティーリャの二つの大聖堂を結ぶ人物として、イベリア半島にゴシックを本格的に根づかせた棟梁の一人に数えられる。