構造表現主義
エッフェル塔
エッフェル塔(tour Eiffel)は、パリ七区のシャン・ド・マルスに立つ高さ約330メ…
建築家 / Architect
ステファン・ソーヴェストル(Stéphen Sauvestre、1847–1919)は、エッフェル塔に建築としての姿を与えたフランスの建築家である。技師たちが描いた鉄の骨組みを、人が仰ぎ見る記念物へと整えた人物といってよい。
1847年、サルト県ボネタブルに生まれる。父は著述家・教育者のシャルル・ソーヴェストル。1868年、エコール・スペシャル・ダルシテクチュール(École Spéciale d'Architecture)を首席で卒業した。1878年のパリ万博ではガス館を設計して注目を集め、パリの新興地区モンソーに数多くの別荘や邸宅を手がけて評価を固める。やがてエッフェルの会社で建築部門を率いる立場となった。
エッフェル塔におけるソーヴェストルの役割は、構造をいかに見せるかにあった。技師ケクランとヌーギエの素案に対し、彼は脚部を結ぶ装飾的な半円アーチ、一階のガラス張りの広間、頂部のキューポラを加え、塔全体の色までも選んだ。純粋な構造物に建築的な顔を与えたこれらの要素は、完成後の塔の印象を決定づけている。
代表作のエッフェル塔(1887–1889)のほか、ノワジエルのムニエ・チョコレート工場の近代化をはじめ、産業と結びついた建築も多く残した。1919年に没する。技師が主導した大事業のなかで、ソーヴェストルは建築家の仕事がどこにあるのかを静かに指し示している。