エドワーディアン建築
エドワーディアン建築(Edwardian architecture)は、英国王エドワード7世の治世(1901〜1910年)を中心に、おおむね第一次世界大戦前までの英国で展開した建築の総称である。ヴィクトリア朝の重く込み入った折衷主義に対する反動として、明るくゆとりある古典主義への回帰が進んだ。
その主流をなしたのが「エドワーディアン・バロック」と呼ばれる壮麗な古典様式で、英国バロックやフランスの古典建築に学んだ堂々たる列柱・ドーム・彫刻装飾を、官公庁舎・市庁舎・銀行・商業建築などに用い、ポートランド石の白い壁面と豊かな彫刻が帝国の威信を体現した。一方で、アーツ・アンド・クラフツの流れを汲む簡素で居住性を重んじた住宅や、ネオ・ジョージアンの落ち着いた古典主義も並行し、様式は一様ではない。
劇場建築もこの時代の華やかな一面を担った。フランク・マッチャムらの手になるヴァラエティ劇場やミュージックホールは、バロックやロココ、各地の異国趣味を自在に取り混ぜた華麗な内装で観客を魅了し、エドワード朝の享楽的な大衆文化を映し出した。プロセニアム・アーチを中心に据えた明快な客席計画と、良好な視認性・音響を備える点も、この時代の劇場の到達点を示している。ロンドン・パラディウムはその代表例である。
エドワーディアン建築は、歴史主義の最後の輝きであると同時に、装飾を排する近代建築が登場する直前の時代を画する。重厚な古典の威厳と、来るべき機能主義とのあいだに位置する、過渡的な様式として理解される。