EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

グーギー建築

Googie
年代
1945 — 1969
地域
アメリカ合衆国
時代
近代モダニズム

グーギー建築(Googie)は、第二次世界大戦後のアメリカ、とくに1950年代から1960年代にかけて南カリフォルニアを中心に流行した、未来志向の商業建築の様式である。ロサンゼルスのコーヒーショップ「グーギーズ」の名に由来し、当初は批評家がその大衆的で奇抜な意匠を揶揄して用いた呼称であった。

宇宙開発・原子力・自動車という時代の高揚を背景に、グーギーは「明日の世界」を売り場やレストランの造形へと翻訳した。鋭角的に跳ね上がる屋根(ブーメラン形やデルタ翼形)、放物線アーチ、星形やアメーバ状の装飾、大胆なネオンサイン、そして人工衛星やロケットを思わせるモチーフが、その典型的な語彙である。鉄骨やガラス、プラスチックといった新しい素材と工法が、軽快で動きのある形態を可能にした。

その多くは、モーテルやガソリンスタンド、ボウリング場、ドライブインといった、自動車社会のための沿道建築であった。走行する車から一瞬で目をとらえる派手な形態とサインは、消費とスピードの時代に適応した建築の戦略でもあった。建築の正統からは長く軽視され、再開発のなかで失われた作例も多いが、20世紀後半の大衆文化と消費社会を映す様式として、近年は歴史的な再評価が進んでいる。

ロサンゼルス国際空港のテーマ・ビルディングや、シアトルのスペースニードルは、商業建築の枠を超えてグーギーの楽観と未来像を記念碑的な規模で結晶させた代表例である。同時代のミッドセンチュリー・モダンや、ロケット・宇宙時代の意匠を取り込んだスペース・エイジ様式とも近しい関係にあり、戦後アメリカの楽天的なモダニズムの一翼をなす。

グーギー建築
§1

代表建築

Buildings