アメリカ・シアトルのランドマークとなっている展望塔。1962年の万国博覧会のために建てられた高さ約184メートルの塔で、円盤を頂く未来的な姿は、宇宙時代の楽観を映すグーギー建築の代表例として知られる。
§1 — 概要概要
スペースニードル(Space Needle)は、アメリカ・ワシントン州シアトルに立つ展望塔である。1962年に開かれた万国博覧会(センチュリー21博覧会)のシンボルとして建設され、高さは約184メートルに達する。三本脚の上に円盤を載せた未来的な姿は、宇宙開発時代の楽観を造形にしたグーギー建築の象徴として、いまもシアトルを代表する景観となっている。
歴史
塔の構想は、博覧会の責任者の一人エドワード・カールソンが、空に浮かぶ円盤状のレストランを思い描いたことに始まる。設計はジョン・グラハム・アンド・カンパニーが担い、建築家ヴィクター・スタインブルックが、上下に絞られた砂時計のような優美な輪郭をまとめた。1961年に着工し、強風や地震に耐える構造として急ピッチで建設が進められ、博覧会の開幕に合わせて1962年に完成した。基礎は当時としては西海岸でも最大規模とされる一度の連続したコンクリート打設で築かれ、地中深くに据えられた巨大な土台が細い塔身を支えている。
建築的特徴
塔は、上方へすぼまりながら再び広がる三脚状の脚部と、頂部に載る円盤からなる。円盤の内部には地上約160メートルの展望台と回転レストランが設けられ、外周へ片持ち(カンチレバー)で張り出している。鋭く尖った頂部、放射状のリブ、軽やかに伸びる脚は、ロケットや空飛ぶ円盤を思わせる当時の未来像を、そのまま建築に翻訳したものである。来訪者はエレベーターでおよそ40秒ほどで展望台へと運ばれ、シアトルの市街やピュージェット湾、遠くの山並みを一望できる。
意義・現在
スペースニードルは、戦後アメリカの繁栄と宇宙時代の高揚を体現する建築として、1999年にシアトル市の歴史的ランドマークに指定された。万博のために建てられた多くの仮設的な建造物とは異なり、博覧会の後も都市の象徴として残され、展望塔・観光名所として親しまれ続けている。その輪郭は、シアトルという都市のアイデンティティそのものと結びついている。