エンパイア・ステート・ビルディング Empire State Building
ニューヨーク、マンハッタンのアール・デコの摩天楼。1930年に着工し、わずか一年余りで完成して1931年に開業した。屋上まで381メートル、102階建てで、1970年代まで約40年にわたり世界一の高さを誇った、20世紀アメリカを象徴する一棟である。
§1 — 概要概要
ニューヨーク、マンハッタンのミッドタウンに建つ、102階建てのアール・デコの摩天楼である。1931年の完成から、ワールドトレードセンターに抜かれる1970年代初頭まで、およそ40年にわたり世界一の高さを保った。その名は、ニューヨーク州の愛称「エンパイア・ステート(帝国州)」に由来する。20世紀アメリカの繁栄と摩天楼の時代を象徴する建築として、今も世界に知られている。
歴史
計画が動き出したのは1929年、実業家ジョン・ラスコブらが旧ウォルドルフ=アストリア・ホテルの跡地に世界一高いビルを建てようとしたことに始まる。設計を任されたのは建築事務所シュリーブ・ラム・アンド・ハーモンで、当時はクライスラー・ビルなどと「世界一」を争う高さ競争のただ中にあった。
着工は1930年3月。世界恐慌のさなかでありながら、工事は驚異的な速さで進み、最盛期には一日に一階のペースで鉄骨が組み上げられた。そして着工からわずか一年余り、1931年5月1日に開業した。当初は入居が振るわず「からっぽのビル」と揶揄されたが、やがてニューヨークを代表する建築として広く愛されるようになる。
建築的特徴
建物は、1916年の都市計画法が定めた斜線制限に応えて、上へ向かうほど階段状に後退していく(セットバック)。その結果生まれた、上へすぼまる鉛筆のような輪郭が、この摩天楼の姿を決定づけた。外壁はインディアナ産の石灰岩で覆われ、窓と壁とを一体に扱った簡潔な意匠が、垂直の伸びやかさを際立たせる。
屋上までの高さは381メートル。頂部の尖塔は当初、飛行船をつなぐ係留塔として構想されたものだが、強風のため実用には至らず、のちに放送用アンテナの基部となり、先端までの高さは約443メートルに達する。
意義・現在
エンパイア・ステート・ビルディングは、鉄骨造の高層建築が到達したひとつの頂点であり、また、わずか一年余りで巨大建築を成し遂げた建設史上の偉業でもある。アール・デコの摩天楼を代表する作として、アメリカ国定歴史建造物に指定されている。86階と102階の展望台からの眺めは、今なお年間数百万の人々を引き寄せ、ニューヨークの空にその姿をそびえさせている。
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