シドニー・オペラハウス Sydney Opera House
シドニー湾に突き出た岬に立つ、20世紀を代表する建築。帆のような白い殻の連なりで知られる。デンマークの建築家ヨーン・ウツソンが設計し、構造の難題をアラップが解いた。1973年に開場し、オーストラリアの象徴となった。世界遺産。
§1 — 概要概要
シドニー・オペラハウス(Sydney Opera House)は、オーストラリア・シドニーの湾に突き出たベネロング岬に立つ、複合芸術施設である。帆、あるいは貝殻のような白い殻の連なりが、海と空を背に映える。20世紀を代表する建築の一つであり、オーストラリアの象徴として、世界にその姿を知られている。
歴史
1957年、シドニーに新たなオペラハウスを建てる国際設計競技で、無名のデンマークの建築家ヨーン・ウツソンの案が選ばれた。湾の景観を活かした彫刻的な構想は、審査員エーロ・サーリネンに「天才の作」と讃えられた。工事は1959年に始まる。だが、帆のような殻をいかにして建てるかという構造の難題が、長く立ちはだかった。ウツソンと構造設計を担うアラップは、幾度もの試行のすえ、1961年、すべての殻を一つの球の一部として導く「球面の解」にたどり着く。
しかし、膨れあがる費用と工期をめぐって、ウツソンは州政府と激しく対立した。1966年、彼は職を辞し、二度とこの国に戻らないと誓って去る。完成を見ることはなかった。残された内部は、ピーター・ホール率いるオーストラリアの建築家たちが引き継いだ。1973年10月、エリザベス2世臨席のもと、ついに開場した。のちにウツソンは和解し、2003年には建築界最高のプリツカー賞を受けている。
建築的特徴
建物の核心は、屋根をなす白い殻の群れである。プレキャストのコンクリートの肋を組み合わせ、表面は百万枚を超える白い陶製タイルで覆われている。光を受けて、貝の内側のように輝く。この複雑な曲面を、すべて単一の球から切り出すという発想によって、規格化された部材での施工が可能になった。コンピュータを設計に用いた、ごく初期の例でもある。表現主義の系譜に連なる、彫刻的で動きのある造形は、ガラスの箱が主流であった当時の近代建築のなかで、際立っていた。
意義・現在
シドニー・オペラハウスは、構造技術の革新と、彫刻的な造形美とを、高い次元で結びつけた建築である。年に千八百を超える公演が行われる、世界有数の劇場でもある。完成から34年後の2007年、20世紀の建築としては異例の早さで、ユネスコ世界遺産に登録された。