ホワイトハウス White House
ワシントンD.C.に建つアメリカ大統領の官邸。アイルランド出身の建築家ジェームズ・ホーバンが設計し1800年に完成した新古典主義の建築で、象徴となる南北のポルティコはラトローブの案による。
§1 — 概要概要
ホワイトハウス(White House)は、ワシントンD.C.に建つアメリカ合衆国大統領の官邸である。アイルランド出身の建築家ジェームズ・ホーバン(James Hoban)の設計により1800年に完成した。白く塗られたアクィア・クリーク砂岩の簡潔な外観は、新古典主義建築の代表例として、また合衆国そのものを象徴する建築として世界に知られている。
歴史
新首都の建設にあたり、当初は都市計画家ピエール・ランファンが大統領官邸の設計を任されていたが、王宮のような壮大な案が委員会と対立して解任される。代わって1792年に公開競技設計が行われ、ジョージ・ワシントンの推挙で応募したホーバンの案が選ばれた。ホーバンはダブリン留学時代に親しんだレンスター・ハウス(現アイルランド議会)を下敷きにしている。同年10月に礎石が据えられ、自由黒人と奴隷、ヨーロッパからの移民職人らの手で建設が進み、1800年に第2代大統領ジョン・アダムズが最初の住人として入居した。
1814年、米英戦争のさなかにイギリス軍がワシントンを占領し、官邸を焼き払う。内部は焼け落ちたが石壁は残り、ホーバンが再建を指揮して1817年にモンロー大統領が戻った。建物の象徴となる南北のポルティコ(列柱玄関廊)は、建築家ベンジャミン・ヘンリー・ラトローブ(Benjamin Henry Latrobe)が1807年に立案したもので、南が1824年、北が1829年に実現した。20世紀に入るとセオドア・ローズヴェルトのもとで西棟(ウエスト・ウィング)が設けられて執務機能が分かれ、トルーマン政権期(1948〜52年)には老朽化した内部が鉄筋コンクリートで全面的に造り直された。
建築的特徴
ホワイトハウスは、18世紀のアングロ・パッラーディオ様式を簡素化した新古典主義の邸宅である。水平に長い矩形の本体に、イオニア式の明快な列柱、三角形のペディメント、規則正しい窓の配列が、左右対称の落ち着いた構成を与えている。北正面にはイオニア式のポルティコ、南面には半円形に張り出すコロネード(列柱廊)が付き、簡潔ながら格式ある表情をつくる。王宮の豪奢を退け、共和国にふさわしい節度を古典の語彙で示した点に、この建築の思想がある。
意義・現在
ホワイトハウスは、歴代大統領が暮らし執務してきた政治の中枢であり、国家の連続性を体現する建築である。「ホワイトハウス」の通称は、焼失後に白い塗装で外壁を覆ったことに由来し、20世紀初頭にセオドア・ローズヴェルトが正式名称とした。改築や再建を重ねながらも、ホーバンが与えた簡潔な古典の姿は二百年あまり保たれている。今日も現役の官邸として使われ、建国期の共和国が選んだ古典の節度を、首都の中心で伝えている。
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