バッキンガム宮殿 Buckingham Palace
ロンドンの中心に立つ、イギリス王室の宮殿。1703年の貴族の邸宅を核に、19世紀、ジョン・ナッシュらが宮殿へと改築した。1837年以来、歴代君主の公式の住まいであり、その東面のバルコニーは、王室が国民の前に姿を見せる場として知られる。
§1 — 概要概要
バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)は、ロンドンの中心、ウェストミンスターに立つ、イギリス王室の公式の宮殿である。1837年のヴィクトリア女王の即位以来、歴代の君主がここを住まいとしてきた。式典や国賓のもてなしの舞台であり、東面のバルコニーは、王室が国民の前に姿を見せる場として、世界に知られている。
歴史
宮殿の核となったのは、1703年、バッキンガム公のために建てられた邸宅「バッキンガム・ハウス」である。設計は建築家ウィリアム・ウィンドが担った。1761年、ジョージ3世がこれを買い取り、王妃シャーロットの私邸として用いたことから、「クイーンズ・ハウス」と呼ばれるようになった。
宮殿へと姿を変えたのは19世紀である。1820年代、ジョージ4世はジョン・ナッシュに命じ、邸宅を中庭を囲む壮大な宮殿へと拡張させた。しかし費用は予算を大きく超え、ナッシュは解任される。事業はエドワード・ブロアが引き継ぎ、1847年から1850年にかけて、中庭の東側を閉じる新たな翼が築かれた。これが、ザ・マルに面する「表の顔」、すなわち東面である。1837年、ヴィクトリア女王が初めてここに居を定め、宮殿は名実ともに君主の住まいとなった。
建築的特徴
宮殿の様式は、新古典主義とジョージアン様式を基調とする。庭園に面した西面には、ナッシュが手がけた当初の優美な意匠がよく残る。一方、もっとも人目に触れる東面は、たびたび手が加えられた。1913年、アストン・ウェッブが、ブロアの東面をポートランド石で改修し、ヴィクトリア女王記念碑を背景とする、堂々たる現在の正面をつくりあげた。中央のバルコニーは、この東面に設けられている。
意義・現在
バッキンガム宮殿は、イギリス王室の象徴であり、国家の祝祭や追悼に際して、人々が集う場所であり続けてきた。「宮殿」という言葉そのものが、しばしば王室の公式発表を指す代名詞として用いられる。今日もなお君主の公邸であり、また主要な観光地として、世界中から訪れる人を迎えている。