ヴィクトリア・メモリアル (ロンドン) Victoria Memorial
ロンドン、バッキンガム宮殿前のザ・マル東端に立つヴィクトリア女王の記念碑。彫刻家トマス・ブロックが女王像と寓意像の群像を、建築家アストン・ウェッブが周囲の建築設定を手がけた。1901年構想、1911年除幕、1924年完成。
§1 — 概要概要
ロンドン中心部、バッキンガム宮殿前のザ・マル東端に立つ、ヴィクトリア女王(在位1837–1901)を記念する大記念碑。中心のモニュメントは彫刻家サー・トマス・ブロックの作で、それを取り巻く庭園・門・大通りの建築的な設定を建築家サー・アストン・ウェッブが設計した。大理石と金箔を施したブロンズの群像からなり、イギリスで王・女王を記念する最大のモニュメントである。
歴史
1901年の女王崩御の直後に記念碑の構想が起こり、同年、設計競技を経てブロックが彫刻の作者に、ウェッブが周囲の都市計画の担当に選ばれた。ウェッブはザ・マルの整備、アドミラルティ・アーチの建設、バッキンガム宮殿正面の改装までを含む大規模な計画をまとめた。記念碑本体は1906年頃から制作が進み、下半部は1909年に公開され、1911年5月16日にジョージ5世臨席のもとで除幕された。ただし四隅のライオンを伴うブロンズ群像などの仕上げは続き、全体の完成は1924年に至った。
建築的特徴
高さ約25メートルの中央の塔状部はペンテリコン産の大理石、女王像はカラーラ産の大理石で彫られ、頂部には金色の「勝利」の像が立つ。女王像を中心に、正義・真理・母性といった寓意の群像が方位ごとに配され、それぞれの持ち物が女王の徳を読み解く手がかりとなる。四隅には平和・進歩・農業・製造を表すブロンズ像がライオンとともに据えられる。ウェッブによる設定は、エドワーディアン・バロックと呼ばれる、パリの美術学校に由来する古典主義(ボザール)の系譜に連なるもので、半円形の庭園と門が記念碑を荘重に縁取る。
意義・現在
ヴィクトリア記念碑は、女王個人の追悼にとどまらず、最盛期の大英帝国とその理念を可視化した国家的モニュメントである。バッキンガム宮殿を背に、儀礼や行進の舞台として今日も用いられる。彫刻と建築が役割を分担しながら一つの場を作り上げた好例であり、1970年にグレードI指定建造物に登録された。