メトロポリタン美術館 Metropolitan Museum of Art
ニューヨーク、セントラル・パークの東縁に立つ、世界有数の美術館。1870年創立。古代から近代まで、五千年におよぶ人類の美術を収める。1902年に完成した五番街側のボザール様式のファサードが、その堂々たる顔として知られる。
§1 — 概要概要
メトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art、通称「ザ・メット」)は、ニューヨーク、セントラル・パークの東縁に立つ、世界有数の美術館である。1870年に創立され、古代エジプトから近代まで、五千年におよぶ人類の美術を収める。五番街にひらく堂々たるボザール様式のファサードは、この館の顔として、広く知られている。
歴史
美術館は1870年、芸術を市民に開こうとする人々の手で創立された。当初は借りた建物に置かれていたが、1880年、セントラル・パークの一角に、最初の本館が開かれる。これを設計したのは、公園の建築を多く手がけたカルヴァート・ヴォークスとジェイコブ・レイ・モールドであった。赤煉瓦と石によるヴィクトリア朝ゴシックのこの建物は、しかし時代遅れと評され、ほどなく増築の波に呑まれていく。
1902年、建築家リチャード・モリス・ハントの設計による五番街側のファサードと大広間が完成し、館に記念碑的な威容を与えた。ハント自身は完成を見ずに世を去り、その仕事は息子が引き継いだ。続いて1910年代から1926年にかけては、マッキム・ミード・アンド・ホワイトが両翼を加え、現在の五番街の姿が整えられた。
建築的特徴
館の顔である五番街のファサードは、フランスの古典建築に学んだボザール様式による。淡い色の石灰岩で覆われ、三つの大きなアーチと、コリント式の柱とが、左右に整然と並ぶ。その奥には、ルーヴルの大広間にも比された壮麗なエントランス・ホールが広がる。一方、1880年の最初のゴシック建築は、いまも増築の内側に包みこまれて残り、館の長い歩みを物語る。
意義・現在
メトロポリタン美術館は、ヨーロッパの大美術館に並ぶものをという、アメリカの志から生まれた。一棟の建物というよりは、一世紀半をかけて増改築を重ねた、人類の文化の記録というべき存在である。今もなお、年に幾百万もの人々を迎え、ニューヨークの、そして世界の、文化の十字路でありつづけている。