EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

新古典主義建築

Neoclassical architecture
年代
1750 — 1850
地域
ヨーロッパ・北米
時代
新古典・歴史主義

新古典主義建築(Neoclassical architecture)は、18世紀半ばから19世紀にかけて欧米に広まった、古代ギリシア・ローマの建築を理想とする様式である。過剰な装飾に流れたバロック・ロココへの反動として、古典の簡潔さ・均整・秩序へと回帰した点に本質がある。

背景には、理性と秩序を重んじる啓蒙思想と、ポンペイやヘルクラネウムの発掘(18世紀半ば)による古代への関心の高まりがあった。古代ギリシア美術の崇高さを説いたヴィンケルマンの著作が思想的な支柱となり、様式はフランス・イギリスを中心にヨーロッパ全域へ、さらにカトリーヌ二世のロシアや、建国期のアメリカへと広がった。新生の共和国にとって、古代の語彙は理想を体現する器でもあった。

形態の特徴は、古代神殿に範をとる列柱廊(ポルティコ)と三角形のペディメント(破風)、ドーリア・イオニア・コリントの明快なオーダー、左右対称の均整、そしてドームである。バロックが光と陰の彫塑的な動きを追ったのに対し、新古典主義は壁面の平明さと各部の明確な分節を重んじ、装飾を抑えて幾何学的な秩序を際立たせた。考古学的な正確さを志向する点で、ルネサンスの古典主義とも一線を画している。

代表建築には、ジャック=ジェルマン・スフロによるパリのパンテオン、ロバート・スマークの大英博物館(44本のイオニア式列柱)、カール・ゴットハルト・ラングハンスのブランデンブルク門、シンケルのベルリン・アルテス・ムゼウム、そしてアメリカ合衆国議会議事堂などがある。彫刻の領域でも、ローマ神話の女神リベルタスをかたどった自由の女神像が、この様式の理念を受け継いでいる。

前後の様式との関係でいえば、新古典主義はバロック・ロココへの反動として現れ、パッラーディオの古典主義をひとつの源とした。19世紀にはゴシック・リヴァイヴァルをはじめとする歴史主義と並走・競合し、ナポレオン期のアンピール様式やアメリカの連邦様式といった地域的な展開を生む。古典の威厳をまとうその語法は、20世紀のモダニズムが装飾を捨て去るまで、公共建築の表現として生き続けた。

新古典主義建築
§1

代表建築

Buildings
新古典主義建築 自由の女神像
1886 · ニューヨーク
自由の女神像
Eugène Viollet-le-Duc

ニューヨーク港リバティ島に立つ新古典主義の巨像。フランスからアメリカへ贈られ…

ロココ ドルマバフチェ宮殿
1856 · イスタンブール
ドルマバフチェ宮殿
Garabet Amira Balyan

イスタンブール、ボスポラス海峡に臨むオスマン帝国の宮殿。1856年に完成し、バリ…

§2

様式の系譜

Lineage
隣接する様式