EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

グレコ・ブッディスト美術

Greco-Buddhist art
年代
前50 — 600
地域
ガンダーラ(現パキスタン北西部〜アフガニスタン)
時代
古代

グレコ・ブッディスト美術(ギリシア仏教美術)は、ヘレニズム世界の造形言語と仏教の主題が融合して生まれた美術・造形様式である。前4世紀のアレクサンドロス大王の東征を機に、中央アジアからインド北西部にかけてギリシア系の文化が根づき、紀元1〜5世紀のクシャーナ朝の下で、ガンダーラ地方(タクシラやハッダなど)を中心に開花した。それまで仏陀は法輪や菩提樹、足跡といった象徴で暗示されるにとどまっていたが、この様式のもとで初めて人間の姿をした仏像がつくられたとされる。ギリシア・ローマ彫刻に由来する写実的な身体表現、うねる衣文(厚い衣のひだ)、波打つ巻き毛、整った顔立ちが特徴で、頭上の肉髻(にっけい)や眉間の白毫(びゃくごう)といった仏の相好と結びつき、禅定印や施無畏印などの身振りをとる。素材には片岩やストゥッコ(漆喰)が多用され、僧院や仏塔(ストゥーパ)を荘厳した。後にはインドのマトゥラーやグプタ美術のより土着的な表現とも交わりながら展開した。シルクロードの交易とともにこの様式は東へ伝わり、中央アジアのオアシス都市、さらに中国・朝鮮・日本の仏教美術の源流のひとつとなった。アフガニスタンのバーミヤンの大仏は、その系譜を受け継ぎつつ、6〜7世紀の中央アジアで巨大な磨崖仏へと展開させた到達点として位置づけられる。こうしてガンダーラに生まれた仏の図像は、写実と理念を兼ね備えた表現として広く受け入れられ、以後の東アジア仏教美術における仏の姿の原型のひとつとなった。

グレコ・ブッディスト美術
§1

代表建築

Buildings