EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

ムデハル建築

Mudéjar architecture
年代
1200 — 1600
地域
スペイン(イベリア半島)
時代
中世

ムデハル建築(Mudéjar architecture)は、中世から近世にかけてのイベリア半島において、キリスト教徒の支配下に置かれながらイスラームの造形伝統を受け継いだムスリムの職人(ムデハル)が生み出した建築様式である。レコンキスタ(国土回復運動)が進んだ12世紀以降、征服された地に残った職人たちが、キリスト教の教会堂や宮殿、市庁舎などの建設に従事するなかで成立した。

様式の特色は、素材と技法にある。石材ではなく煉瓦を主たる建材とし、それを緻密に組み上げることで、幾何学文様の帯や網目状の装飾を壁面に織り出す。開口部には馬蹄形アーチや多弁アーチ、幾何学的な組子細工を用い、内部は彩色木造天井やスタッコ装飾で覆う。とりわけアラゴン地方のムデハルでは、色釉タイル(アスレホ)と煉瓦を組み合わせた鐘楼が発達し、垂直に伸びる塔の表面を色鮮やかな幾何学模様が飾った。テルエル大聖堂の彩色木造天井(アルテソナード)は、その到達点を示す代表例である。

ムデハルは、単一の時代様式というより、ロマネスク・ゴシック・ルネサンスといった西欧の様式が移り変わるなかを通底して存続した、イベリア半島固有の技法の伝統であった。イスラームとキリスト教という二つの文化の接触が生んだこの様式は、19世紀以降、その造形を意図的に再生するネオムデハル様式として再評価される。アラゴンのムデハル建築群は1986年にユネスコ世界遺産に登録されている。

ムデハル建築
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代表建築

Buildings