サンタ・マリア大聖堂 (テルエル) Teruel Cathedral
スペイン・アラゴン州テルエルに建つカトリックの大聖堂。12世紀に起源をもち、13世紀のムデハル様式の塔と彩色木造天井で名高い。塔・天井・クロッシングドームはユネスコ世界遺産「アラゴンのムデハル様式建築」を構成する。
§1 — 概要概要
サンタ・マリア・デ・メディアビリャ大聖堂(Catedral de Santa María de Mediavilla)は、スペイン東部アラゴン州の都市テルエルに建つカトリックの大聖堂である。イベリア半島のムデハル様式を代表する建築の一つであり、キリスト教徒の支配下でイスラーム建築の技法と意匠を受け継いだ職人たちの手になる。塔・木造天井・クロッシングドームは、1986年にユネスコ世界遺産「アラゴンのムデハル様式建築」の一部として登録された。
歴史
起源は、1171年にテルエルがキリスト教勢力によって再征服された後に建てられた聖マリアの教区教会にさかのぼる。現在の建物の骨格は13世紀にムデハル様式で整えられ、なかでも鐘楼は1257年ごろに築かれた。1587年に司教座が置かれて大聖堂に昇格し、16世紀にはルネサンス期のムデハル様式によるクロッシングドーム(シンボリオ、1538年)が加えられた。20世紀初頭の1909年には、建築家パブロ・モンギオの設計により、正面がネオムデハル様式で改築されている。
建築的特徴
最大の見どころは、身廊を覆う13〜14世紀の彩色木造天井(アルテソナード)である。幾何学文様や当時の生活・宮廷を描いた板絵で埋め尽くされたこの天井は、その豊かさから「ムデハルのシスティーナ礼拝堂」とも称される。煉瓦を組んで幾何学模様を織り出す装飾や、ムカルナス・アラベスクに通じる意匠は、イスラーム建築の造形をキリスト教の聖堂へ移し替えたムデハルの本質をよく示す。塔もまた、色釉タイルと煉瓦で飾られたムデハル塔の典型である。
意義・現在
テルエル大聖堂は、イスラームとキリスト教という二つの文化が交わったイベリア半島ならではの様式を、一棟のうちに凝縮した建築である。ムデハル様式で建てられたスペインの大聖堂は、タラソナのそれと本聖堂のわずか二例にとどまる。現在もテルエル司教区の大聖堂として礼拝に用いられ、世界遺産としてアラゴンのムデハル建築群を代表する存在となっている。