サグラダ・ファミリア Sagrada Família
バルセロナでガウディが手がけた未完の大聖堂。1882年に着工され、自然から引いた構造とゴシックを超える独自の形態によって、いまも建設が続けられている、モデルニスモの記念碑。
§1 — 概要概要
サグラダ・ファミリア(La Sagrada Família、聖家族贖罪教会)は、スペイン・バルセロナに立つ大聖堂で、アントニ・ガウディの未完の代表作である。1882年の着工以来、一世紀をはるかに超えて、いまも建設が続けられている、世界でも類を見ない建築である。
歴史
当初は別の建築家のもとでゴシック・リヴァイヴァルの教会として始まったが、翌1883年にガウディが引き継ぎ、構想を一新した。以後、彼は人生の後半をこの聖堂に捧げ、晩年には現場の小屋に住み込んで設計に没頭する。1926年に事故で世を去ったとき、完成していたのはごく一部であった。その後も献金にもとづいて建設は断続的に続けられ、ガウディの残した模型や図面、近年は彼の幾何学を解析したコンピュータをも頼りに、工事は進められている。2005年、生誕のファサードと地下聖堂が世界遺産に登録された。
建築的特徴
ガウディは、自然の構造を徹底して建築に応用した。傾いた柱は樹木のように枝分かれして天井を支え、放物線やカテナリー(懸垂線)のアーチが、力学的に無理のない形で重さを受け流す。ゴシック大聖堂が外部の飛梁で壁を支えたのに対し、ガウディは構造そのものを内側で完結させようとした。三つの主要なファサードは、キリストの生誕・受難・栄光を、おびただしい彫刻で物語る。林立する尖塔は、最終的に天へ向かってさらに高く聳え立つ計画である。
意義・現在
サグラダ・ファミリアは、モデルニスモの頂点であると同時に、いかなる様式にも属さない孤高の建築である。ゴシックの精神を受け継ぎながら、自然の幾何学によってそれを乗り越えようとしたガウディの構想は、建設が続くいまも、なお完成を見ていない。未完であることそのものが、この聖堂の本質と分かちがたく結びついている。