ネワール建築
パシュパティナート
カトマンズ盆地、バグマティ川の岸に建つネパール最大のヒンドゥー教寺院。シヴァ…
ネワール建築(Newa architecture)は、ネパール・カトマンズ盆地の先住民ネワール人が育てた建築様式である。木・煉瓦・金属を組み合わせ、重層の屋根を段状に架ける寺院形式を中心とする。ヒンドゥー教と仏教の双方の建物に共通の語彙が用いられており、宗教の別より地域の技法が形を決めている点に特徴がある。
起源はリッチャヴィ朝期(4〜9世紀)にさかのぼるが、現存する建築の大半は12世紀以降のマッラ朝期に属する。カトマンズ、パタン、バクタプルの三王都が競って寺院と王宮広場(ダルバール広場)を整備した15〜18世紀が最盛期にあたる。
形式の骨格は、正方形の基壇の上に立方体の身舎を置き、その上に二層ないし三層、ときに五層の屋根を寸法を減じながら重ねるものである。屋根は瓦または金銅板で葺かれ、頂部に宝珠を戴く。深く張り出した軒は斜めの木製方杖で支えられ、この方杖には神像や説話の場面が緻密に彫り込まれる。窓・扉・柱もまた木彫で埋め尽くされ、装飾はほぼ全面的に木の仕事として現れる。
代表例は、パシュパティナート、バクタプルのニャタポラ寺院、パタンのダルバール広場の建築群である。重層の屋根をもつことから東アジアの塔と混同されやすいが、系統は異なる。13世紀のネワール工匠アニコが元朝に招かれ、大都(北京)に白塔を築いた事実が示すように、この地域の技術はむしろ盆地の外へ広がっていった。1934年と2015年の地震で多くの建物が倒壊し、伝統技法による復旧が現在も続いている。