アルメニア建築
アニの大聖堂
中世アルメニアの首都アニに残る大聖堂。バグラトゥニ朝のもとで989年に着工し、建…
建築家 / Architect
トルダト(Trdat, 950年頃–1020年頃)は、中世アルメニアを代表する建築家である。ラテン語ではティリダテスとも呼ばれ、バグラトゥニ朝の宮廷建築家として活躍した。数学と設計に長け、首都アニにあって王朝の主要な造営を担った。代表作はアニの大聖堂と、7世紀のズヴァルトノツの再現を意図したガギク聖堂(ガギカシェン)である。989年の地震でコンスタンティノープルのハギア・ソフィア大聖堂のドームが損壊すると、その修復を委ねられて同地へ赴き、994年に新たなドームを完成させた。東西の大建築を手がけたこの経歴は、当時のアルメニア人が学術・技術の分野でビザンティン世界において重んじられていたことを物語る。アニの大聖堂に見られる尖頭アーチや束ね柱など、後のゴシック建築を先取りするかのような要素も、トルダトの設計に帰せられる。中世アルメニア建築の頂点を築いた人物として、後世に大きな影響を残した。