アフリカ南部、現ジンバブエ南東部に残るサハラ以南最大級の石造遺跡。11〜15世紀、ショナの祖先がモルタルを用いない乾式石積みで築いた都市で、巨大な「大囲壁」と円錐塔で知られる。国名の由来でもある。
§1 — 概要概要
グレート・ジンバブエは、アフリカ南部、現在のジンバブエ南東部に残る、サハラ以南アフリカ最大級の石造遺跡である。11世紀から15世紀にかけて、ショナの人々の祖先が、モルタルを用いない乾式石積みによって築いた都市で、ジンバブエ王国の政治・経済・信仰の中心であった。なかでも巨大な「大囲壁」は、サハラ以南で最大の古代建造物として知られる。国名「ジンバブエ」は、ショナ語で「石の家」を意味する。
歴史
都市は丘の上の「丘陵遺跡」に始まり(11〜13世紀)、やがて谷あいに「大囲壁」(13〜15世紀)や住居群が広がった。最盛期の14世紀には一万数千の人口を擁し、内陸の金や象牙をインド洋沿岸の交易網へと結んで栄えた。遺跡からは中国やペルシアの陶磁器も出土している。15世紀ごろ、金鉱の枯渇や環境の変化により都市は衰え、放棄された。植民地時代には、これをアフリカ人の手になるものではないとする説が唱えられたが、考古学的研究はこれを退け、ショナの祖先による営みであることが確かめられている。
建築的特徴
建築は、現地の花崗岩を割り出した切石を、接合材を用いずに精密に積み上げる乾式石積みによる。大囲壁は周囲およそ250メートル、高さ11メートルに達し、二重の壁のあいだに高さ約10メートルの円錐形の塔が立つ。壁面には山形(シェブロン)の文様が織り込まれ、装飾と威信を示している。これらの壁は防御のためではなく、王権と権威を象徴する場であったと考えられている。出土した石彫の鳥「ジンバブエ・バード」は、今日この国の象徴となっている。
意義・現在
グレート・ジンバブエは、植民地史観によって長く否定されてきた前植民地期アフリカの高度な文明と国家形成を、石の都として雄弁に物語る遺跡である。1986年にユネスコ世界遺産に登録され、独立後の国名と、国旗に描かれた鳥に、その記憶が刻まれている。崩れずに立ち続ける石壁は、ショナの石工技術の確かさを今に伝えている。