ジョージアン様式
コロニアル・リヴァイヴァル建築(Colonial Revival architecture)は、19世紀末から20世紀にかけてアメリカで隆盛した、植民地時代および建国初期の建築への回帰を志向する様式である。1876年の建国百年祭(フィラデルフィア万博)を契機として、ジョージアン様式や連邦様式(フェデラル)といった18世紀アメリカの建築への関心が一挙に高まり、それらの形態を再解釈して用いる動きが広がった。形態の面では、左右対称の端正な立面、切妻や寄棟の屋根、中央に据えた装飾的な玄関ポーチ、小割りの窓(マルチペーン・サッシュ)、扇形の欄間窓(ファンライト)、ペディメントや付柱で飾る出入口などを特徴とし、煉瓦や下見板で仕上げられることが多い。厳密な考証に基づく復元というよりも、植民地建築のもつ穏やかで親しみやすい古典性を喚起することに主眼が置かれ、住宅を中心に学校・教会・公共建築へと広く応用された。とりわけ大学キャンパスでは、伝統と権威を視覚的に表現する様式として好んで採用された。同時代のジョージアン・リヴァイヴァルや新古典主義と重なり合いながら展開し、20世紀前半のアメリカ郊外住宅の標準的な意匠として定着して、今日に至るまで根強い人気を保っている。国家の歴史的アイデンティティと結びついたこの様式は、ヨーロッパの諸様式の輸入とは異なる、アメリカ建築における歴史主義の地域的な現れの一つとして位置づけられる。