EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

折衷主義

eclecticism in art
年代
新古典・歴史主義(18–19C)
地域
時代
新古典・歴史主義

折衷主義(せっちゅうしゅぎ)は、過去のさまざまな建築様式の要素を一つの建物のなかで自由に組み合わせる、19世紀の設計態度をいう。ゴシック、ロマネスク、ビザンティン、ルネサンスといった歴史上の様式を、単一の規範に縛られず、用途や表現の意図に応じて選び、混ぜ合わせる点に特徴がある。

19世紀の歴史主義のなかで、どの様式を範とすべきかをめぐる議論(「様式の戦い」)が続くなか、折衷主義はいずれか一つを選ぶのではなく、複数を併せ用いる道をとった。産業革命がもたらした鉄やガラスといった新しい材料・構法を歴史的な意匠で包む器にもなり、教会・歌劇場・百貨店・庁舎など多様な建築に応用された。第二帝政期のパリやヴィクトリア朝の都市に、その実例は数多く残る。

パリのサン=トーギュスタン教会は、その代表例の一つである。ヴィクトール・バルタールは、ロマネスクとビザンティンを織り交ぜた外観のうちに当時最新の鉄骨構造を組み込み、歴史様式と産業技術の総合を一個の建築として示した。同じ時代のパリ・オペラ座(ガルニエ宮)もまた、豪奢な折衷の典型として知られる。折衷主義はしばしば「様式の混乱」と批判もされたが、定まった規範の外で多様な要素を統合しようとした姿勢は、やがて様式そのものから解き放たれていく近代建築への一つの過渡でもあった。

折衷主義
§1

代表建築

Buildings
§2

様式の系譜

Lineage
本様式
折衷主義
子様式
折衷主義建築