サン=トーギュスタン教会 (パリ) Saint-Augustin, Paris
パリ8区、オスマンの大通りの交点に立つカトリック教会。市の建築家ヴィクトール・バルタールが1860年から1871年にかけて建てた。歴史様式の外観のうちに鉄骨をあらわに用いた、パリ初の大規模な鉄骨教会である。
§1 — 概要概要
サン=トーギュスタン教会(Église Saint-Augustin)は、パリ8区、オスマンが拓いた大通りの交点に立つカトリック教会である。市の建築家ヴィクトール・バルタールの設計により、1860年から1871年にかけて建てられた。歴史様式をまとった外観のうちに鉄の骨組みをあらわに用いた、パリで初の大規模な鉄骨教会として知られる。
歴史
教会は、ナポレオン3世のもとオスマンが進めたパリ大改造の一環として計画された。マルゼルブ大通りの軸線の先にドームを望ませ、反対の端に立つマドレーヌ寺院と対をなす目印とすることが求められた。与えられた敷地は街路の付け替えで生じた台形の地形で、バルタールは、間口の狭い正面から内部を奥へ広げ、大きな内陣へと至る巧みな平面でこれに応えた。建設は1860年に始まり、十年あまりをかけて1871年に完成した。1886年には、のちに聖人となるシャルル・ド・フーコーがこの教会で回心したことでも知られる。
建築的特徴
バルタールがこの教会に与えた最大の革新は、構造を鋳鉄の骨組みで支えた点にある。細い鉄柱と鉄のアーチが石造の天井を受けることで、壁を薄くし、外部に重い控え壁を巡らせる必要をなくした。鉄は隠されず、丸天井や柱のところであらわに見せられ、金色に塗られた鋳鉄の柱が、彩色された天使像とともに内部を飾る。外観はロマネスクとビザンティンを織り交ぜた折衷的な意匠で、正面には三連アーチの玄関廊、キリストと十二使徒の像、そして大きなバラ窓が配される。これらを頂くドームはフィレンツェ大聖堂に着想を得たもので、頂までの高さは80メートルに達する。
意義・現在
サン=トーギュスタン教会は、エッフェル塔に先立つ時代に、鉄という産業の素材を記念碑的な建築の骨格として用いた先駆的な作例である。歴史様式と鉄骨構造を一つの建物のうちに統合したこの試みは、第二帝政期のパリを象徴する建築の一つに数えられる。フランスの歴史的記念物に指定され、2016年から2018年にかけて修復を受けて、今もオスマン様式の街区の只中にその姿を保っている。