EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

巨石建築

Megalithic architecture
年代
前4500 — 前1500
地域
西ヨーロッパを中心とする各地
時代
古代

巨石建築は、ほとんど加工しない大きな自然石を立て、組み、載せて築く、先史時代の構築物の総称である。ヨーロッパでは新石器時代から青銅器時代にあたる前5千年紀から前2千年紀ごろを中心に、大西洋岸を主軸として、地中海・北アフリカ・南アジアなど各地で営まれた。

最も単純な形は、一個の石を地面に垂直に立てるメンヒルである。これが列をなせばカルナックの列石となり、数個の石の上に大きな平石を載せて室をつくれば、墓として用いられたドルメンになる。さらに円形の堀と土塁を巡らせたヘンジ、その内側に巨石を据えた環状列石へと展開した。いずれもモルタルを用いない乾式の組積で、石の自重と噛み合わせだけで立つ。立てた石にまぐさ石を渡すまぐさ式構造を、数トンから数十トンの石塊で実現した点が際立ち、ストーンヘンジ中央のトリリトンはその最も完結した姿といえる。

巨石建築には、部材を細かく刻む装飾の論理はない。意味は、巨大な石を遠方から運び、立て、載せるという労働そのものに宿る。多くは天体の運行や葬制と結びつき、共同体が特定の場所を聖別する装置として働いた。設計者は伝わらず、幾世代にもわたる共同作業の産物である。

なお、トルコのギョベクリ・テペのように、これに先立つ狩猟採集段階の記念碑も知られ、巨石を扱う営みは農耕の開始よりも古い。やがて地中海世界では、加工した石材を比例の体系のもとに組む古典建築が現れ、石は「積む素材」から「秩序づけられた部材」へと変わっていく。巨石建築は、その手前に立つ、建築の最も根源的な段階を示している。

巨石建築
§1

代表建築

Buildings
巨石建築 ストーンヘンジ
前2500 · ウィルトシャー
ストーンヘンジ

イングランド南部、ソールズベリー平原に立つ先史時代の巨石記念物。前3000年ごろ…