ロシア建築
天幕屋根教会(tented-roof church、シャーチョル形教会)は、ドームに代えて高くそびえる多角錐の屋根(天幕=シャーチョル)を戴く、ロシア独特の聖堂形式である。
16世紀のモスクワ大公国で確立した。木造建築でつちかわれた天を突く形が石造・煉瓦造に移されたもので、垂直性の強い記念碑的な聖堂として好まれた。
立方体や八角形の基部の上に、八角錐の高い天幕屋根が載る。内部に大きな会衆を収めることよりも、外観の塔としての象徴性を重んじた。コロメンスコエの昇天教会(1532年)がその初期の到達点とされる。
本データベースでは、聖ワシリイ大聖堂の中央の聖堂が、林立するたまねぎ屋根の中心に天幕屋根をそびえさせた作例として名高い。
ロシア建築の一様式であり、その奔放な垂直性は17世紀まで栄えた。やがて正教会が伝統的なドーム形式への回帰を求めたこともあり、しだいに姿を消していった。