ヤンゴンの聖丘シンガッタラに立つ、ミャンマー最高の聖地とされる黄金の[[ストゥーパ]]。モン人による起源は6〜10世紀に遡り、15世紀に現在の姿の原型を得て、1774年に高さ約100メートルの現容となった。
§1 — 概要概要
ミャンマー最大都市ヤンゴンのシンガッタラ(シングッタラ)の丘に立つ、全身を金で覆われた巨大なストゥーパ(仏塔)である。正式名称はシュエダゴン・ゼディ・ドー(黄金のダゴン塔)。過去四仏の遺物——とりわけ釈迦の8本の聖髪——を納めると信じられ、ミャンマー仏教における最高の聖地とされる。基壇を含む全高は約112メートルに及び、丘上にそびえる金色の尖塔はヤンゴンの都市景観を象徴する存在である。特定の建築家による作品ではなく、千年以上にわたり歴代の王や王妃、無数の信徒の寄進によって築かれ続けてきた、信仰の集積体である。
歴史
伝承では釈迦在世の前6世紀、二人のモン人商人が授かった聖髪を当地の王が奉安したことに始まるとされる。考古学的には、6世紀から10世紀の間にモン人によって築かれたと考えられている。記録に残る最初期の整備は1362年で、モン王ビンニャ・ウーが塔を高さ約18メートルに改修した。15世紀には、モン人の女王シン・ソープ(ビンニャ・タウ)が塔を大きく嵩上げするとともに、自らの体重と同量の金を寄進して金箔で覆い、以後現在まで続く「金の寄進」の伝統を始めた。塔が今日の姿の原型を得たのはこの15世紀の拡張においてである。1768年の地震で頂部が崩落すると、コンバウン朝の王シンビューシンが1774年にこれを再建し、頂部のティー(hti)を除いて約99メートルという現在の高さに引き上げた。1871年にはミンドン王が宝石をちりばめた新しいティー(傘蓋)を奉献し、全高は約112メートルに達した。
建築的特徴
シュエダゴンは、12世紀バガンのシュエズィーゴン・パゴダを直接の祖型とする、ミャンマー型ストゥーパの完成形である。鐘形の塔身と蓮弁のモティーフを基本としながら、上方の八角形・円形のテラスと、頂部を飾る傘蓋(ティー)を発達させている。塔身は煉瓦造で、その表面は本物の金板で覆われ、頂部のティーにはダイヤモンドやルビーなど無数の宝石が嵌め込まれている。塔は三段のテラス(基壇)に囲まれ、全体が立体的なマンダラ(宇宙の表象)を成すと解釈される。丘へは東西南北の四方から屋根付きの長い階段が通じ、その入口は一対の聖獣チンテー(獅子像)が守っている。
意義・現在
シュエダゴン・パゴダは、王権と信仰が不可分に結びついたミャンマー史の縮図であり、その鐘形ストゥーパの形式は国内外の仏塔の規範(プロトタイプ)となった。地震のたびに歴代の王によって再建・嵩上げされてきた歴史は、石造記念物の「永遠」とは異なる、絶えざる更新と寄進によって支えられる聖地のあり方を示している。ユネスコ世界遺産の暫定リストに記載されており、現在もミャンマー最大の宗教祭シュエダゴン祭の中心として、巡礼と日常の祈りの場となっている。