ドイツ・フランクフルトの高層オフィスビル。クリストフ・メックラーの設計により2011年に竣工し、高さ200メートルは市内有数。馬蹄形の低層部から二枚の板状棟が立ち上がる構成をとる。
§1 — 概要概要
タワー185(Tower 185)は、ドイツ・ヘッセン州フランクフルト・アム・マインのガルス地区に立つ高層オフィスビルである。高さ200メートル、塔部は地上50階を数え、延床面積でドイツ最大級のオフィス高層に位置づけられる。建築家クリストフ・メックラーの設計により、見本市会場(メッセ)と新興の「ヨーロッパ地区(オイロパフィアテル)」が接する一帯で、その東の玄関口を画する。
歴史
2008年、地権者ヴィヴィコ(現CAイモ)による設計者選定でメックラー案が一等に選ばれ、同年秋に着工、2011年に竣工した。名称は当初計画の高さ185メートルに由来するが、塔頂部に設備階を加えた結果、実際には200メートルに達している。主たる賃借人は国際的な会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)で、約6万平方メートルを長期に賃借し、本ビルをドイツ法人の本拠とした。施工はホッホティーフが担い、2010年末には低層部が先行して完成・利用が始まった。2017年にはデカバンクが約7億7,500万ユーロで取得している。
建築的特徴
構成は明快な二部からなる。馬蹄形の平面をもつ六層の低層部は天然石を張り、周囲の街区のベージュの石壁やスレート屋根に呼応する高さと素材で、フリードリヒ・エーベルト通りの街路に接する。中央の広場から六層分の吹き抜けの玄関ホールが通り抜け、低層部の地階には店舗や飲食店、地下には約550台の駐車場が収まる。低層部からは、アルミとガラスのカーテンウォールをまとう二枚の板状の棟が立ち上がり、曲面ガラスの円筒部がその二枚を結ぶ。各階の天井高は3メートルに保たれ、個室から開放型まで多様な執務形式に対応する自由度の高い平面をもつ。設計者メックラーは、近代建築を「再・物質化」したものとして、時代を超える品位と、限られた資源の持続的な扱いを意図したと述べている。
意義・現在
タワー185は、21世紀初頭のフランクフルトの高層化を象徴する一棟であり、ヨーロッパ地区の開発を先導する存在となった。反射ブラインドによる日射制御やLEEDゴールド認証に表れる環境性能など、商業高層に持続可能性を組み込んだ点でも先行例に数えられる。今日もフランクフルトのスカイラインを構成する主要な塔の一つである。