ルネサンス建築
アル=アンダルスの美術(Art of Al-Andalus)は、711年のイスラーム勢力によるイベリア半島征服から、1492年のグラナダ陥落に至るおよそ八百年のあいだに、半島南部で展開した建築と工芸の総体を指す。ムーア様式とも呼ばれる。
政治的には後ウマイヤ朝、タイファ諸国、ムラービト朝、ムワッヒド朝、ナスル朝と主体が交替したが、建築の語彙には一貫した連続性がある。西ゴート期の遺構やローマの廃墟から円柱・柱頭を運んで再用するスポリアの慣行、馬蹄アーチの多用、そして壁面を文様で覆い尽くす被覆的な装飾観がそれである。
形態上の中核をなすのは、アーチの反復による内部空間の構成である。コルドバの大モスクでは、二層に重ねた馬蹄アーチが列柱の林を支え、限られた柱の高さから広壮な天井高を得ている。10世紀以降は輪郭を弧で刻んだ多弁アーチが加わり、これを交差させたセブカ文様が壁面装飾の主要な手法となった。石膏彫刻、彩釉タイルの腰壁、ムカルナスによる天井、そして水と庭を建築に組み込む手法も、この地域が洗練させたものである。
代表作は、コルドバの大モスク、宮殿都市メディナ・アサーラ、セビリアのヒラルダの塔とアルカサル、そして最後の到達点であるグラナダのアルハンブラ宮殿である。レコンキスタ後もイスラーム期の技法はキリスト教徒の建築に受け継がれ、ムデハル様式として長く存続した。