EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

レンガ表現主義建築

Brick Expressionism
年代
1910 — 1930
地域
ドイツ(北部・ルール地方)とオランダ
時代
近代モダニズム

レンガ表現主義建築(Backsteinexpressionismus)は、煉瓦・タイル・クリンカーを主たる仕上げ材として用いる、表現主義建築の一変種である。1920年代を中心に、おもにドイツとオランダで展開した。

様式の中心地は、北ドイツの諸都市(とりわけハンブルク)とルール地方であり、もっとも密度高く広まったのはルール地方であった。オランダではアムステルダム派が同じ潮流に属し、アムステルダムやユトレヒトなどの都市に作例を残している。北ドイツとオランダには、もともと煉瓦造の長い伝統があり、煉瓦をねじり、立て、突き出し、色や質感の異なるクリンカーを組み合わせて、単調な壁面に変化を与える工夫が積み重ねられてきた。レンガ表現主義は、その蓄積の上に立つ。

形態的には、鋭く角ばった輪郭や尖った要素、彫塑的な装飾を特徴とする。装飾をいっさい排そうとする同時代のバウハウス=新即物主義とは正反対に、煉瓦の積み方と造形そのものによって、強い表情を建物に与えようとした。光の当たり方で表情を変えるクリンカーの肌は、この様式の要である。

代表作として名高いのが、フリッツ・ヘーガーによるハンブルクのチリハウスである。船の舳先のような鋭角の造形で知られ、この様式の到達点とされる。ほかにヘーガーらのシュプリンケンホーフや、ブレーメンのベットヒャー通りなどがある。

様式史のうえでは、20世紀初頭にドイツで盛んだった表現主義建築から派生し、装飾を否定する近代建築(モダニズム)の潮流とせめぎ合いながら、1920年代の北ドイツとオランダに独自の世界を築いた。

レンガ表現主義建築
§1

代表建築

Buildings
§2

様式の系譜

Lineage
親様式
表現主義建築
本様式
レンガ表現主義建築