モダニズム建築
有機的建築(Organic architecture)は、建築を、その土地・自然・用途と分かちがたく結びついた、生きた有機体のようにとらえる思想・様式である。アメリカのフランク・ロイド・ライトが提唱し、生涯の理念とした。
ライトは、建物を風景に対立させるのではなく、地形や素材、植生と調和させることを目指した。低く水平に伸びる屋根、自然石や木といった土地の素材、内と外を連続させる開かれた平面が、その手法である。滝の上に水平の床を何層も張り出させた落水荘は、建物が自然の一部となる理想を、最も劇的に示した作品であった。
この思想は、ライト一人のものにとどまらない。フィンランドのアルヴァ・アアルトの北欧モダンや、後年の各地の地域主義的な建築にも、自然と人間に寄り添うという近い精神が受け継がれている。ライトは「箱を壊す」ことを唱え、部屋を四方の壁で閉じる代わりに、空間が水平に流れ、内と外が連続する平面を追求した。素材は、それぞれの性質を偽らずに用いること——木は木らしく、石は石らしく——が重んじられる。後年の手ごろな「ユーソニアン住宅」にも、この理念は貫かれた。普遍的・抽象的な国際様式に対し、有機的建築は、場所と生命に根ざすことを建築の出発点に据えたのである。全体と部分、建物と環境が一つに溶け合うその理想は、機械の論理に対する自然の論理として、近代建築のもう一つの可能性を示し続けている。