ソロモン・R・グッゲンハイム美術館 Solomon R. Guggenheim Museum
ニューヨーク五番街に建つ近代美術館。フランク・ロイド・ライト晩年の代表作で、上方へ広がる螺旋構造と中央の大吹き抜けで名高い。2019年に世界遺産に登録された。
§1 — 概要概要
ソロモン・R・グッゲンハイム美術館は、ニューヨーク・マンハッタンの五番街に建つ近代美術館である。フランク・ロイド・ライト晩年の代表作で、円筒が上に向かって緩やかに広がる螺旋構造の外観が際立つ。建物そのものが20世紀建築の到達点として、2019年に世界遺産に登録された。
歴史
鉱業家ソロモン・R・グッゲンハイムが収集した非具象絵画を展示するため、1943年に芸術顧問ヒラ・リーベイがライトに設計を委嘱した。構想から実現までには敷地の確定や予算・規制との折衝で時間を要し、着工は1956年までずれ込んだ。建設はライト存命中に進み、彼が没した1959年の同年10月に開館した。開館に先立つ1956年には、螺旋スロープが絵画の鑑賞に適さないとして21人の美術家が連名で抗議文を提出する一幕もあった。純白の螺旋に対する賛否は当初から渦巻いたが、1992年の増築を含む後年の改修を経て現在に至る。
建築的特徴
内部は中央の大きな吹き抜け(アトリウム)を、壁面に沿って連続する螺旋状のスロープが取り巻く。来館者は最上部からスロープを下りながら作品を鑑賞する動線で、各階を仕切る従来の展示室とは根本的に異なる。スロープは床からカンチレバーで持ち出され、頂部の天窓から自然光が降り注ぐ。有機的な曲線で全体を統一する手法は、ライトが提唱した自然と一体の建築観を体現している。
意義・現在
直線と直角を基調とする近代建築のなかで、曲線と連続空間を貫いたこの建物は、美術館建築の常識を塗り替えた。展示空間と建築の主従関係をめぐる議論を呼びつつも、ニューヨークを代表する文化施設として定着した。建物は2008年にアメリカ合衆国の国定歴史建造物に指定され、2019年には、ライトの他の作品とともに「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品」の構成資産としてユネスコ世界遺産にも登録された。