カンプ・ノウ Camp Nou
バルセロナに立つ、FCバルセロナの本拠地スタジアム。1957年開場。「新しい競技場」を意味するその名のとおり、欧州最大の収容力を誇ってきた。鉄筋コンクリートの三層の観客席が、すり鉢状にピッチを囲む。現在、大規模な改修が進められている。
§1 — 概要概要
カンプ・ノウ(Camp Nou)は、スペイン・バルセロナに立つ、サッカークラブFCバルセロナの本拠地スタジアムである。カタルーニャ語で「新しい競技場」を意味し、旧本拠地レス・コルツに対する名であった。1957年の開場以来、長く欧州最大の収容力を誇り、クラブの標語「クラブ以上の存在(Més que un club)」を体現する、カタルーニャの誇りの場でありつづけてきた。
歴史
ふくれあがる観客を、旧競技場が収めきれなくなったことから、新スタジアムの建設が決まる。1954年3月、数万の群衆を前に、礎石が据えられた。設計は、カタルーニャの建築家フランセスク・ミッジャンスとジュゼップ・ソテラスが、リュレンス・ガルシア=バルボンの協力を得て担った。ロッテルダムのデ・カイプを範に、すり鉢状の観客席が構想された。
工費は当初の見積もりを大きく超え、クラブは長く借財に苦しんだ。それでも1957年9月、スタジアムは開場した。1982年のワールドカップに際しては観客席を増やし、十二万人を収めるまでになる。2023年からは、屋根の新設と近代化をはかる大改修「エスパイ・バルサ」が進められ、2025年11月、一部の再開を見た。全面の完成は、2026年から2027年ごろが見込まれている。
建築的特徴
建物は、鉄とコンクリートを主とし、三層に積みあげた観客席が、ピッチをすり鉢状に取り囲む。急な勾配でせり上がる客席は、フィールドへの視界を確保すると同時に、満員のときには、音が反響しあう「壁」となって、独特の熱気を生む。機能を第一とした、簡素で力強いつくりは、戦後の近代建築の精神をよく伝える。長く屋根のない開かれた器であったが、改修によって、全席を覆う波打つ屋根がかけられようとしている。
意義・現在
カンプ・ノウは、一クラブのスタジアムという枠を超えて、都市と地域の記憶を刻みこんだ場である。フランコ独裁の時代には、カタルーニャの言葉と心が許された数少ない場所でもあった。サッカーの歴史に残る数々の名勝負の舞台となり、今もなお、改修をへて、新たな時代へと歩みを進めている。