EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

シルヴァン=アブシェロン建築学派

Shirvan-Absheron architectural school
年代
1100 — 1500
地域
アゼルバイジャン(シルヴァン・アブシェロン地方)
時代
中世

シルヴァン=アブシェロン建築学派は、現在のアゼルバイジャン、カスピ海西岸のシルヴァン地方とアブシェロン半島(バクー周辺)に、おおむね12世紀から15世紀にかけて展開した中世の地域的な建築の流れである。最大の特徴は、地元で豊富に採れる白灰色の石灰岩を主材とし、目地を詰めた精緻な石積みによって、簡潔で量塊的な幾何学形を組み上げる点にある。煉瓦と彩釉タイルを多用し、高くそびえる墓塔を得意とした同時代のナヒチェヴァン学派とは対照的に、こちらは石を主役とした、硬質で構築的な造形を志向した。装飾は石彫による幾何学文様や銘文の帯に絞られ、全体に要塞を思わせる厳しさと落ち着きをたたえる。乾いた強風の吹くアブシェロンの気候は、開口を抑えた厚い石壁と平らな屋根を促し、尖頭アーチや鋭い稜線、控えめな鍾乳石飾りといった要素がそこに重ねられた。代表作はバクー旧市街のシルヴァンシャー宮殿や乙女の塔、各地に残る城塞や塔状建築であり、いずれも交易で栄えた中世カフカースの都市文化を今に伝える。この学派の形態は近代に入って意識的に再評価され、20世紀初頭のバクーでは、ズィヴェル・ベイ・アフマドベヨフによるタザ・ピル・モスクのように、石造の伝統を甦らせた建築が生まれた。広く見れば、イランやカフカースにまたがる中世イスラーム建築の一地域様式として位置づけられ、アゼルバイジャンの建築的アイデンティティの拠りどころともなっている。

シルヴァン=アブシェロン建築学派
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代表建築

Buildings