イングランド、リヴァプールにあるサッカー競技場。1884年に開場し、1892年以来リヴァプールFCの本拠地である。最も声援の熱い立見席「コップ」をはじめ、独特の雰囲気で名高い。試合前に歌われる「ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン」とともに親しまれている。
§1 — 概要概要
アンフィールド(Anfield)は、イングランド・リヴァプールにあるサッカー競技場である。1884年に開場し、1892年以来、リヴァプールFCの本拠地でありつづけている。収容人数はおよそ六万一千。世界でも有数の熱気をもつ競技場として知られ、なかでも「コップ」と呼ばれるスタンドの声援と、試合前に歌われる「ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン」は、この地のサッカー文化を象徴している。
歴史
アンフィールドは当初、エヴァートンFCの本拠地として、1884年に始まった。だが1892年、土地をめぐる対立からエヴァートンが去ると、地主のジョン・ホールディングは、空いた競技場のために新たなクラブ——リヴァプールFC——を立ちあげた。これが、今日まで続く結びつきの始まりである。
その後、競技場は幾度も改修を重ねていく。スタジアム建築家アーチボルド・リーチが、メインスタンドや、1906年の大規模な改修を手がけた。このとき築かれたウォルトン・ブレック・ロード沿いの立見席は、ボーア戦争の激戦地にちなんで「スピオン・コップ」と名づけられ、やがて単に「コップ」として、世界に知られていく。1989年のヒルズボロの惨事を受けた安全基準の見直しののち、1994年には全席が座席化された。
建築的特徴
アンフィールドは、ひとつの設計によるのではなく、百四十年にわたる増改築の積み重ねによって、今日の姿に至った競技場である。四方を囲む四つのスタンド——コップ、メインスタンド、サー・ケニー・ダルグリッシュ・スタンド、アンフィールド・ロード・エンド——が、ピッチを取り囲む。21世紀に入ってからも、2016年のメインスタンド、2023年のアンフィールド・ロード・スタンドと、拡張が続けられてきた。
意義・現在
アンフィールドは、単なる競技場ではない。一世紀をこえてリヴァプールという街に根ざし、クラブとともに歩んできた、地域の記憶の場である。建築としては質素な、機能本位の構造物でありながら、そこに積み重ねられた人々の声援と歴史こそが、この場所を比類なきものにしている。