イングランド・マンチェスターにあるサッカースタジアム。マンチェスター・ユナイテッドの本拠地として1910年に開場した。スコットランドの設計者アーチボルド・リーチが手がけ、「夢の劇場(シアター・オブ・ドリームス)」の異名を持つ。英国のクラブ用スタジアムでは最大の規模を誇る。
§1 — 概要概要
オールド・トラッフォード(Old Trafford)は、イングランド・グレーター・マンチェスターに立つサッカースタジアムである。1910年の開場以来、名門クラブ、マンチェスター・ユナイテッドの本拠地であり続けている。収容人員は約7万4千人で、英国のクラブが本拠とするスタジアムとしては最大を誇る。元選手ボビー・チャールトンが名付けた「夢の劇場(シアター・オブ・ドリームス)」の愛称で広く知られる。
歴史
20世紀初頭、ユナイテッドは旧本拠地バンク・ストリートの手狭さに悩んでいた。会長ジョン・ヘンリー・デイヴィスは1909年、新たなスタジアムの建設を決意し、その資金を用立てる。建設地に選ばれたのは、ブリッジウォーター運河に近い、トラッフォード・パークの工業地帯に隣り合う一画であった。設計を託されたのは、数多くのサッカー場を手がけたスコットランドの設計者アーチボルド・リーチである。1910年2月19日、こけら落としの試合(対リヴァプール)とともに開場した。当初6万ポンドと見積もられた建設費は、最終的に9万ポンドへと膨らんだ。
第二次世界大戦中の1941年、スタジアムはドイツ軍の空襲で大きな被害を受ける。ユナイテッドは一時、宿敵マンチェスター・シティの本拠地メイン・ロードを間借りし、1949年にようやく再建されたオールド・トラッフォードへ戻った。その後も改修を重ね、1990年代から2000年代にかけては各スタンドが増築され、収容数は開場当初の規模に迫るまで回復した。
建築的特徴
リーチが当初構想したのは、10万人を収容する大競技場であった。費用を抑えるために8万人へと規模は縮められたが、屋根の架かった南側スタンドに約1万2千の座席を設け、残る三方を屋根のない立見席(テラス)とする構成で、ピッチを取り囲んだ。鉄骨の格子(ラティス)を見せる意匠は、リーチのスタジアム建築に共通する特徴であり、英国のサッカー場の原型となった。たび重なる増改築を経た現在も、最も歴史ある南側スタンドには、開場時の構造の一部や、選手が通った当初のトンネルが残されている。
意義・現在
オールド・トラッフォードは、一世紀を超えてユナイテッドの栄光と試練を見つめてきた。1966年のワールドカップ、1996年の欧州選手権、2003年のチャンピオンズリーグ決勝など、数々の大きな試合の舞台にもなっている。クラブの歴史と分かちがたく結びついた、世界でも指折りの著名なスタジアムである。