ブラジル・アマゾナス州マナウスのサッカースタジアム。2014年FIFAワールドカップのため、ドイツの設計事務所gmpの設計により2010年に着工し2014年に開業した。地域の籠細工を思わせる鋼鉄の編み目状の外被をもつ。
§1 — 概要概要
アレーナ・アマゾニア(Arena Amazônia)は、ブラジル北部アマゾナス州の州都マナウスに建つサッカースタジアムである。2014年のFIFAワールドカップ・ブラジル大会の開催地のひとつとして建設され、約4万4千人を収容する。設計は、ドイツの設計事務所フォン・ゲルカン・マルク・アンド・パートナーズ(gmp)が手がけた。
歴史
旧ヴィヴァウダォン競技場の跡地に、2010年から2014年にかけて建設された。建設費はアマゾナス州政府とブラジル開発銀行が分担し、施工はブラジルの建設大手アンドラーデ・グティエレスが担ったが、工期中には作業員の死亡事故が起き、過密な工程と安全管理が問題となった。完成後はワールドカップに加え、2016年リオデジャネイロ・オリンピックのサッカー競技にも用いられた。一方、地元に強豪クラブを欠くため、大会後の稼働率の低さが課題として指摘されてきた。
建築的特徴
最大の特色は、観客席のボウル全体を包み込む鋼鉄の網目状の外被である。これはアマゾナス地方の工芸である籠細工の編み込みを想起させる意匠で、構造体と日除けの役割を兼ねる。屋根には膜材が用いられ、熱帯の豪雨を集めて再利用する仕組みが組み込まれた。外被と屋根が一体となって強い日射を遮りつつ通風を確保する構成は、空調に頼りすぎずに観客の快適性を保つことを意図したものである。自然換気を促す断面など、高温多湿の気候に応える環境技術が随所に盛り込まれている。
意義・現在
本競技場は、世界的大会のために熱帯地域へ大型施設を建設するという現代的な課題を象徴する事例である。地域文化を抽象化した外観と環境配慮の技術は評価される一方で、巨大施設の建設と維持をめぐる議論——いわゆる「白い象」の問題——を投げかけた建築でもある。現在もマナウスのスポーツ・文化の拠点として使用されている。