ヴァルトシュタディオン Waldstadion
ドイツ・フランクフルトのサッカー専用競技場。1925年に多目的の「森の競技場」として開場し、2002年から2005年にgmp(フォン・ゲルカン・マルク・アンド・パートナーズ)の設計で全面改築された。可動式の膜屋根を備える。
§1 — 概要概要
ヴァルトシュタディオン(Waldstadion、「森の競技場」の意)は、ドイツ・フランクフルト・アム・マイン南部の森に囲まれて建つ競技場である。1925年に多目的のスポーツ施設として開場し、幾度もの改築を経て、現在はサッカークラブ、アイントラハト・フランクフルトの本拠地となっている。2005年に完成した現在の建物は約5万9千人を収容し、可動式の膜屋根を特徴とする。命名権により呼称は変遷するが、地元では旧称「森の競技場」で親しまれている。
歴史
ヴァルトシュタディオンは1925年に開場し、陸上競技や各種競技に用いられる多目的施設として出発した。以後、1937年、1950年代、1974年と時代の要請に応じて改築を重ねた。決定的な転機となったのが、2006年のワールドカップに向けた全面改築である。ハンブルクの設計事務所gmp(フォン・ゲルカン・マルク・アンド・パートナーズ)が設計を担当し、2002年から2005年にかけてサッカー専用のスタジアムへと建て替えられた。新しい競技場は2005年のコンフェデレーションズカップで披露され、翌年のワールドカップで主要会場の一つを務めた。
建築的特徴
現在の競技場の最大の特徴は、四隅の支柱とケーブルで荷重を処理する軽量な張力構造の屋根と、その中央に設けられた可動式の膜屋根である。悪天候時には透光性のある膜が中央の開口を覆い、晴天時には収納されて空が開く。膜を通して柔らかな光が差し込み、観客席を覆いながらピッチには十分な光と風を保つ。観客席はピッチに近接して傾斜よく配置され、サッカー専用ならではの一体感のある観戦環境を作り出している。森に囲まれた立地を生かし、外周は周囲の緑と調和するよう抑制された意匠でまとめられている。
意義・現在
ヴァルトシュタディオンは、2006年ワールドカップのために整備されたドイツのスタジアム群のなかでも、可動屋根と膜構造を備えた先進的な作例として知られる。歴史ある競技場の名と立地を受け継ぎながら、現代の興行・放送・安全の要件に応えた施設へと刷新された点に意義がある。現在はサッカーのみならず、コンサートなど多目的に活用され、命名権による名称変更を重ねつつ、フランクフルトの都市生活に根づいた施設として機能し続けている。