ベルリン南郊シェーネフェルトに位置するドイツの首都圏空港。gmp(フォン・ゲルカン・マルク・アンド・パートナーズ)の設計で2006年に着工したが、度重なる遅延の末、当初予定から約9年遅れの2020年に開港した。
§1 — 概要概要
ドイツの首都ベルリンの南郊、ブランデンブルク州シェーネフェルトに位置する国際空港である。正式名称は「ベルリン・ブランデンブルク空港 ヴィリー・ブラント(Flughafen Berlin Brandenburg Willy Brandt)」、IATAコードはBER。テーゲル・シェーネフェルト・テンペルホーフの各空港に分散していたベルリンの航空需要を一つに集約するために計画された。中核となる第1ターミナルはドイツのgmp(フォン・ゲルカン・マルク・アンド・パートナーズ)が設計した。完成までに度重なる遅延と費用超過を重ね、ドイツの大規模公共事業の混乱を象徴する存在ともなった。
歴史
ベルリンの壁崩壊とドイツ再統一を受け、首都の航空拠点を一元化する「単一空港」構想のもと、1991年に運営会社が設立された。1998年の設計競技ではgmpとJSKによる案が一等を獲得し、両社による設計共同体(pg bbi)が計画を担った。2006年に着工し、当初は2011年の開港を予定していたが、防火設備や配線の重大な不備が相次いで発覚し、開港は繰り返し延期された。工事の混乱のなかで設計共同体は破綻し、gmpは現場から外された。最終的に空港が開港したのは、着工から14年、計画開始から29年を経た2020年10月31日のことである。旧シェーネフェルト空港の施設は第5ターミナルとして組み込まれた。
建築的特徴
第1ターミナルは、明快な幾何学とモジュール(6.25メートルの基準格子)に基づいて計画され、出発階の大きな吹き抜けホールを、繊細な鉄とガラスの屋根が覆う。ランドサイドには長い列柱廊(コロネード)が設けられ、建築と周囲の風景をつなぐ移行帯として機能する。分節されたファサードと整然とした幾何学は、シンケルに代表されるプロイセンの古典主義からバウハウスのモダニズムへと至る、ベルリンの建築的記憶を意識的に引き継いだものとされる。ターミナルの直下には6線の鉄道駅が組み込まれ、鉄道・道路・航空の結節点を一点に集約する構成がとられている。
意義・現在
ベルリン・ブランデンブルク国際空港は、建築としての完成度とは別に、その建設過程によって広く記憶される空港となった。9年に及ぶ遅延と大幅な費用超過は、ドイツの公共事業管理のあり方をめぐる議論を呼び、「ドイツの効率性」という通念を問い直す象徴的な事例として国際的にも報じられた。開港後はベルリンと周辺地域の唯一の商業空港として、年間数千万人規模の旅客を扱うドイツ有数の拠点となっている。設計を主導したgmpは、テーゲル空港やベルリン中央駅も手がけており、首都の交通インフラに一貫した建築的言語を与えてきた。