1991年のソ連解体で独立した国々は、新しい国家の顔を建築に求めた。名築が収録する旧ソ連圏の建物のうち、独立後に着工したものは9件ある。1993年着工のアシガバ…
カザフスタンの首都アスタナに立つ国立競技場。2006年から2009年にかけて建設され、収容3万人と可動屋根を備える同国最大の競技場で、サッカー代表の本拠地となっている。
§1 — 概要カザフスタンの首都アスタナに立つサッカー競技場である。収容人数は約3万人で、同国最大の規模をもつ。サッカー・カザフスタン代表の本拠地であり、プロクラブのFCアスタナなどが用いる。厳しい寒冷気候に対応するため可動屋根を備え、屋内競技場としても機能する点に大きな特色がある。
2006年に建設が始まり、約1億8500万ドルの費用を投じて2009年に完成、同年7月3日に開場した。設計は、世界各地の競技場を手がけるスポーツ建築の専門企業ポピュラスが、イスタンブールの設計事務所タバンルオール・アーキテクツと共同で担当した。開場式には当時の大統領ヌルスルタン・ナザルバエフが臨み、同年10月には2010年ワールドカップ予選のクロアチア戦で、初の公式国際試合の舞台となった。
楕円形の平面をもつ大きな円形劇場として構想され、遠近いずれから見ても識別しやすい独特の外観をなす。観客席は二層構成で、ピッチを囲む下層に約1万6千席、東西の上層に約1万4千席を配する。最大の特徴である可動屋根は、降雪や厳寒に閉ざされる気候のもとでも年間を通じた利用を可能にし、ピッチには国際基準を満たす人工芝が敷かれている。
アスタナ・アリーナは、急速な発展をとげた新首都を象徴する大型施設の一つである。サッカーの国際試合のほか、2011年のアジア冬季競技大会の開会式や大規模なコンサートの会場ともなり、中央アジアにおける主要なスポーツ・催事の拠点としての役割を担っている。寒冷地に建つ可動屋根の競技場として、気候への建築的応答を体現する事例でもある。
1991年のソ連解体で独立した国々は、新しい国家の顔を建築に求めた。名築が収録する旧ソ連圏の建物のうち、独立後に着工したものは9件ある。1993年着工のアシガバ…