トルコの首都アンカラ、チャンカヤの丘に立つ高さ125メートルの通信・展望塔。1989年に開業し、回転展望レストランを備えた円筒形のシルエットは同市を代表するランドマークとなっている。
§1 — 概要概要
アタクレ(Atakule)は、トルコの首都アンカラの中心部、チャンカヤ地区の丘の上に立つ高さ125メートルの通信・展望塔である。チャンカヤ自体が市内有数の高台にあるため、塔は晴れた日には市内のほぼ全域から望むことができ、首都のスカイラインを特徴づける存在となっている。名称は、トルコ共和国の建国者ムスタファ・ケマル・アタテュルクへの敬意を込めた「アタ(Ata、父祖の意)」と、トルコ語で塔を意味する「クレ(kule)」を組み合わせたもので、国民的指導者への敬愛を反映している。
歴史
塔の建設は1987年に始まり、1989年に完成した。同年10月13日、トゥルグト・オザル(当時の大統領)によって正式に開業している。設計はトルコの建築家ラギップ・ブルチが手がけ、複数の応募案のなかから選ばれた構想にもとづく。塔の足もとには、開業と同時にアンカラ初の近代的ショッピングモール「アトリウム」が併設され、イスタンブールのガレリアに次ぐトルコで2番目の本格的モールとして注目を集めた。このモールはその後の競合の増加にともなって一度閉鎖されたが、2018年に現代的な施設として全面的に建て替えられ、再び開業している。
建築的特徴
アタクレはコンクリート造の細い円筒を主体とし、頂部へ向かって伸びる柱状の躯体の上に展望施設と通信用アンテナを載せた構成をとる。上層には360度の眺望が開ける展望テラスと、約1時間で一回転する回転展望レストランが置かれ、その上部には回転しないレストラン、テラス下にはカフェが配される。実用的な通信施設と観光・商業の機能を一体化させた複合的なプログラムは、1980年代当時のトルコの都市インフラとしては先進的な試みであった。
意義・現在
アタクレは、オザル政権下で進められた経済自由化と首都の近代化を象徴する建築として構想され、アンカラの新しい顔となった。展望塔としての機能に加え、足もとの商業施設とあわせて市民の生活や余暇の中心の一つとなっており、2018年の改修を経て、現在も市内各所からその姿を望める都市のシンボルとして親しまれている。