バブシュキンスカヤ駅 Babushkinskaya
モスクワ地下鉄カルーシスコ・リシュスカヤ線の駅。1978年開業。中間の柱をもたない単一ヴォールト式の開放的なホームをもち、脱スターリン化以降のソビエト地下鉄建築を代表する簡素な一例である。
§1 — 概要概要
バブシュキンスカヤ駅(Babushkinskaya)は、モスクワ地下鉄カルーシスコ・リシュスカヤ線(オレンジ線)の駅である。1978年9月29日、ヴェー・デー・エヌ・ハー〜メドヴェトコヴォ間の延伸とともに開業した。駅名は所在地のバブシュキンスキー地区にちなみ、同地区は北極圏の飛行で知られる飛行士ミハイル・バブシュキンを記念したものである。設計はレフ・ポポフが手がけた。
歴史
この駅は、市の北東へ路線を延ばす一連の延伸事業の一環として築かれた。開業によってモスクワ地下鉄の駅数は107に達し、北東部の住宅地と都心とを結ぶ動脈の一部を担うことになった。1955年に始まる「建築的過剰との闘い」を経て、戦後のモスクワ地下鉄は華美な装飾から離れ、簡素で実用的な設計へと向かっていた。中間の柱をもたない単一ヴォールト式は、量産された柱式駅に代わる開放的な形式として後期に採用されたもので、本駅はその流れのなかで1970年代後半に整えられた比較的洗練された一例である。スヴィブロヴォ駅とメドヴェトコヴォ駅の間に位置する。
建築的特徴
構造は、ひとつの大きな半円天井でホーム全体を覆う単一ヴォールト式で、断面は楕円形をなす。やや傾いた側壁には灰色の大理石が張られ、標識や照明はすべて天井から吊られるため、ホームは中央の簡素なベンチを除いてほとんど遮るもののない一体的な空間となっている。ホーム端の階段上には、バブシュキンの北極飛行を主題としたモシチュクによる彫刻が据えられている。
意義・現在
過剰な装飾を排し、構造そのものの明快さに美を求めた本駅は、ソビエト後期のモダニズム建築の規律をよく示している。スターリン時代の壮麗な「地下宮殿」とは対照的な、機能と経済性を旨とする時代の所産であり、現在も通勤路線の駅として日常的に使われ続けている。