EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
イリイチ広場駅
© A.Savin (Wikimedia Commons) / FAL
FIG. 01 — Q2551059

イリイチ広場駅 Ploshchad Ilyicha

Площадь Ильича

モスクワ地下鉄カリーニンスコ=ソルンツェフスカヤ線の駅。1979年開業の深層パイロン式で、レーニンの父称(イリイチ)に由来する旧広場名にちなむ。白大理石の壁と奥に据えられたレーニンの大浮彫が、後期ソビエトの様式を伝える。

FIG. 02 — Location55.7469° N 37.6831° E
ロシア モスクワ モスクワ
§1 — 概要

概要

イリイチ広場駅(Площадь Ильича)は、モスクワ地下鉄カリーニンスコ=ソルンツェフスカヤ線の駅である。1979年12月、同線の最初の区間の一部として開業した。駅名は地上のかつての広場名に由来し、その「イリイチ」はレーニン(ウラジーミル・イリイチ)の父称を指す。広場自体はのちにロゴジスカヤ・ザスタヴァ広場と改称された。

歴史

駅はモスクワ東部、タガンスキー地区のロゴジスカヤ・ザスタヴァ広場の地下に置かれた。設計は建築家レフ・ポポフとV・クロコフ、技師E・バルスキーらによる。レーニンの理念の実現という主題が、駅の意匠を貫く構想として掲げられた。1995年にリュブリンスカヤ線のリムスカヤ駅が開業すると、両駅は乗換で結ばれている。

建築的特徴

深層に設けられた三つのヴォールトからなるパイロン式の駅で、中央ホールとプラットホームを分ける太い角柱(パイロン)が空間を律する。壁面は白いコエルガ産大理石で覆われ、鎚と鎌をかたどった金属の意匠がはめ込まれる。柱はラブラドライトの台座に載る暗赤色の大理石で仕上げられ、床は赤と灰の花崗岩で敷かれる。中央ホールの奥には、ソ連邦人民芸術家ニコライ・トムスキーによるレーニンの大きな浮彫が据えられている。天井は簡素な面で抑えられ、柱間に仕込まれた照明がホールを均質に照らす。明るい大理石と暗い柱の対比が、奥のレーニン像へと視線を導く。

意義・現在

華麗なスターリン期の駅とも、簡素な現代の駅とも異なるイリイチ広場駅は、装飾を抑えた構成のうちに体制の図像を組み込んだ、1970年代後期ソビエトの地下空間を伝える。レーニンに捧げられた主題と、大理石と花崗岩による落ち着いた質感の対比に、後期ソビエト地下鉄建築の一断面が見てとれる。乗換で結ばれるリムスカヤ駅が古代ローマを主題とするのに対し、本駅はあくまで革命の記憶に主題を求めている点も対照的である。

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LAST EDIT — 2026.06.28
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