モスクワ地下鉄カルージュスコ=リシスカヤ線の駅。装飾排除の方針が打ち出された後の1962年に開業し、白大理石の柱が規則正しく並ぶ簡素な三廊式の標準設計を代表する地下駅である。
§1 — 概要概要
レニンスキー・プロスペクト駅(Ленинский проспект)は、モスクワ地下鉄カルージュスコ=リシスカヤ線(橙の6号線)に属する地下駅である。1962年に開業した。先行する時代の地下駅が豪奢な装飾を競ったのに対し、この駅は簡素で機能的な意匠でまとめられている。建築における過剰な装飾を戒める方針が国家として打ち出された後に設計・建設された駅であり、ソビエト地下鉄建築の様式的な転換を体現する存在である。
歴史
1955年、建築・建設における「過剰の排除」を求める決議が出され、それまでの華美なスターリン様式から、簡素で経済的な建築への転換が図られた。レニンスキー・プロスペクト駅は、この方針のもとで設計され、1962年10月に開業した。設計にはA・ストレルコフ、ニーナ・アリョーシナ、ユーリー・ヴドヴィンらが携わった。柱が等間隔で連なるその姿から、ロシア語で「ムカデ(сороконожка)」の通称で親しまれる標準的な駅形式の一例である。2016年には、中央の階段がモスクワ中央環状線(MCC)のプローシャジ・ガガーリナ駅への乗換口として機能するようになった。
建築的特徴
駅は中央のホールと両側の線路空間からなる三廊式(柱式)の構成をとる。空間を支えるのは白い大理石で覆われた角柱で、規則正しく並ぶその列が空間に明快なリズムを与えている。装飾は最小限に抑えられ、明るく清潔な印象の空間が広がる。先行するスターリン様式の駅にみられた重厚なモザイクや彫刻に代わり、素材そのものの質感と幾何学的な秩序によって空間が構成されている点に、この時代の設計思想がよく表れている。
意義・現在
レニンスキー・プロスペクト駅は、装飾を排した標準設計の地下駅として、ソビエト地下鉄建築の転換期を示す事例である。華やかな「地下宮殿」から、経済性と機能性を重んじる設計へと移行した過程を、その簡素な姿が物語っている。現在も主要な乗換駅のひとつとして多くの利用者に供されており、都市の日常を支える実用的なインフラとして機能しつづけている。
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