モスクワ地下鉄ザモスクヴォレツカヤ線の駅。1985年に開業し、ニーナ・アリョーシナの設計による、後期ソ連を代表する柱式の地下駅である。
§1 — 概要概要
ドモデドフスカヤ駅(ロシア語 Домодедовская)は、ロシアの首都モスクワの南部に位置する、モスクワ地下鉄ザモスクヴォレツカヤ線の駅である。1985年に開業し、オレホヴォ駅とクラスノグヴァルデイスカヤ駅の間に置かれている。駅名は、南方約15キロにあるドモジェドヴォ空港にちなむ。
歴史
駅は、モスクワ南郊の宅地開発の進展にあわせてザモスクヴォレツカヤ線の南端を延伸する事業の一環として、1985年9月7日に開業した。設計は、モスクワ地下鉄の多くの駅を手がけた建築家ニーナ・アリョーシナらが担当した。アリョーシナは設計機関メトロギプロトランスの部門を率い、生涯に十九もの駅の計画に関与した、ソ連を代表する地下鉄建築家のひとりである。今日では、空港への最短の地上アクセスを担う結節点として、多くの利用者を集めている。
建築的特徴
ドモデドフスカヤ駅は、1970年代から80年代にかけて数多く建設された、二列の柱がホームを支える「柱式」の地下駅の典型である。中央ホームの左右に列柱が並び、その間に軌道とプラットホームを配する構成は、施工の合理化と量産を意図したこの時期の標準形にもとづく。スターリン時代の宮殿のような華麗な装飾とは対照的に、明るく簡潔な仕上げを基調としつつ、壁面や柱の被覆に石材を用いて落ち着いた品位を与えている。天井は連続する梁によって規則的に分割され、ホームの全長にわたって均質で見通しのよい空間が広がる。
意義・現在
ドモデドフスカヤ駅は、革命直後の記念碑的な初期駅から、効率を重視する後期ソ連の地下鉄へと至る設計思想の変化をよく示す事例である。装飾を抑えた機能本位の設計は、急速に拡大する大都市の輸送需要に応えるための合理化を体現している。なお2020年には、新型コロナウイルスの流行に際して高齢者の外出自粛を促す趣旨で、駅名をもじった一時的な改称が行われたことでも話題となった。