バニャ・バシ・ジャーミイ Banya Bashi Mosque
ソフィア中心部に立つオスマン期のモスク。1566年に建立され、建築家ミマール・スィナンに帰される。直径約15メートルの大ドームと一基のミナレットをもち、現在もソフィアで唯一機能するモスクとして使われている。
§1 — 概要概要
バニャ・バシ・モスクは、ブルガリアの首都ソフィアの中心部に立つモスクである。オスマン帝国がバルカン半島を支配していた16世紀に建てられ、市内に残る数少ないオスマン期の建造物の一つである。大きなドームと一基のミナレットをもつ端正な姿で知られ、現在もソフィアで唯一礼拝に用いられているモスクである。
歴史
モスクは、碑文によれば1566年に建立された。設計は、オスマン古典期を代表する宮廷建築家ミマール・スィナンに帰されるのが通例である。建物は市街の温泉が湧く一帯に建てられ、その名「バニャ・バシ」は「多くの浴場」を意味するとされる。19世紀末にブルガリアがオスマン帝国から独立した後も、モスクは破壊を免れて存続し、ソフィアのムスリム共同体の中心としての役割を保ち続けた。
建築的特徴
モスクは、オスマン建築の典型に従い、正方形の礼拝室を一つの大きなドームで覆う構成をとる。ドームの直径は約15メートルに及び、内部に広々とした祈りの空間を生み出している。方形の平面から円形のドームへの移行は、隅に設けられた持ち送りによって巧みに処理されている。建物の脇には一基のミナレットが立ち、礼拝の時刻を告げる。煉瓦と石を交互に積んだ外壁は、オスマン期の建築によく見られる手法である。
意義・現在
バニャ・バシ・モスクは、ソフィアに残るオスマン時代の建築を今に伝える貴重な遺構であり、ミマール・スィナンの様式を受け継ぐ建物として建築史上も注目される。今日もブルガリアのムスリムにとって信仰の中心であり、金曜の集団礼拝には多くの人々が集まる。歴史的な街路に面して立つその姿は、多様な文化が重なり合ってきたソフィアの歩みを物語る存在となっている。