カーネギー・ホール Carnegie Hall
ニューヨーク市マンハッタンに建つ世界有数のコンサートホール。鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの出資により、建築家ウィリアム・タットヒルの設計で1891年に開場した。優れた音響で知られ、クラシックからポピュラーまで一流の演奏家が舞台に立つ。
§1 — 概要概要
カーネギー・ホール(Carnegie Hall)は、ニューヨーク市マンハッタンのミッドタウン、第七番街56–57丁目に建つコンサート会場である。鉄鋼業で財をなした実業家・慈善家アンドリュー・カーネギーの資金で建てられ、クラシック音楽とポピュラー音楽の双方で世界最高峰の舞台の一つに数えられる。
歴史
当初は「ミュージック・ホール」の名で、ニューヨーク・オラトリオ協会と交響楽協会の本拠として、1889年から1891年にかけて建設された。設計を担ったのは建築家ウィリアム・バーネット・タットヒルである。1891年5月、チャイコフスキーを客演指揮者に迎えた五日間の音楽祭で華々しく開場した。1893年には、出資者カーネギーの名を冠して現在の名称に改められた。1962年にニューヨーク・フィルハーモニックがリンカーン・センターへ移るまで、同楽団の本拠地でもあった。1960年には超高層ビル建設のため取り壊しの危機に瀕したが、ヴァイオリン奏者アイザック・スターンが率いた保存運動によって救われ、ニューヨーク市が買い取って保存した。中心ホールは、この功績をたたえて1997年にスターンの名を冠している。
建築的特徴
イタリア・ルネサンスを範とするネオルネサンス様式で、細身のローマ煉瓦とテラコッタを用いた落ち着いた外観をもつ。複合施設には三つのホールがあり、中心は五層・約2,790席のスターン・オーディトリアムである。地階には約599席のザンケル・ホール、五十七丁目側には約268席のウェイル・リサイタル・ホールが置かれ、上層階は事務室に充てられている。アマチュアのチェロ奏者でもあったタットヒルは音響に細心の注意を払い、その豊かな響きは今日まで名声を支えている。装飾を抑えた端正な意匠は、音楽を主役とする建物の性格をよく表している。
意義・現在
開場以来、世界中の演奏家にとって「カーネギー・ホールに立つ」ことは一流の証とされてきた。1962年に専属楽団を失った後も独自の公演を企画し、年間およそ250の催しを開いている。アメリカ合衆国の国定歴史建造物に指定されており、開場から130年を経てなお現役の演奏会場であり続けている。