モスクワ地下鉄リュブリンスコ=ドミトロフスカヤ線の駅。1995年開業の深層パイロン式駅で、ソ連の英雄飛行士チカロフにちなみ、装飾は航空をテーマとする。
§1 — 概要概要
チカロフスカヤ駅(Чкаловская)は、モスクワ地下鉄リュブリンスコ=ドミトロフスカヤ線の駅である。市中心部のバスマンノエ地区、モスクワ最大級のターミナルであるクールスキー駅に近接した地下に位置し、環状線とアルバーツコ=ポクロフスカヤ線の二つの「クールスカヤ」駅に乗り換えで結ばれる。ソ連邦英雄に列せられた飛行士ヴァレリー・チカロフ(1904–1938)にちなんで名づけられた。チカロフは1937年、北極点を越えてモスクワからアメリカ西海岸へ至る無着陸飛行を率いた英雄として知られ、駅の意匠もその事績を顕彰している。
歴史
クールスキー駅の地下に三つの駅から成る地下鉄駅複合体の一部として計画され、建設は1986年末に始まった。完成までには長い年月を要し、1995年12月28日、リュブリンスキー半径の第一期区間の一駅として開業した。駅名の由来となったチカロフ通りは、開業前の1992年に歴史的名称「ゼムリャノイ・ヴァル」へ戻されており、駅名と所在地の地理的なつながりは失われている。
建築的特徴
深さ約51メートルに位置する深層のパイロン式の駅で、中央通路と両側のホームを連ねた三廊式の断面をもつ。橋脚状の壁柱であるパイロンの間に開けられた開口が、中央通路とホームとを結ぶ。パイロンは灰青色の波打つ大理石で覆われ、床は灰・赤・黒の花崗岩で敷かれる。天井には半円形の照明が連なり、壁面は色調を組み合わせた大理石で仕上げられている。装飾の主題は駅名にちなむ航空であり、飛行をめぐる意匠が随所に配される。
意義・現在
ソ連末期に着工し、体制の転換を経て独立後のロシアで開業したチカロフスカヤ駅は、その長い建設期間そのものが時代の変動を映している。クールスカヤ両駅との結節点として、現在もモスクワ地下鉄の主要な乗り換え拠点の一つとして機能している。