クリフトン吊橋 Clifton Suspension Bridge
イングランド西部ブリストルのエイヴォン峡谷に架かる吊橋。ブルネルの設計案をもとに、その没後、バーローとホークショーが完成させ、1864年に開通した。錬鉄の鎖で桁を吊る優美な姿でブリストルの象徴となっている。
§1 — 概要概要
クリフトン吊橋(Clifton Suspension Bridge)は、イングランド南西部の都市ブリストルにおいて、エイヴォン川が刻む深い峡谷をまたぐ吊り橋である。クリフトン地区と対岸のリー・ウッズを結び、開通以来、通行料によって維持されてきた有料橋でもある。技師イザムバード・キングダム・ブルネルの構想に始まり、ヴィクトリア朝の土木技術を象徴する構造物として、今日ブリストルの象徴と目されている。
歴史
峡谷に橋を架ける構想は18世紀半ばにさかのぼる。1830年ごろ、若きブルネルの設計案が採用され、1831年に着工したが、同年のブリストル暴動によって工事は中断し、資金難もあって長く停滞した。ブルネルは1859年に世を去り、橋の完成を見ることはなかった。その後、彼の業績を記念する事業として、技師ウィリアム・ヘンリー・バーローとジョン・ホークショーが設計を見直し、1864年に橋は開通した。取り壊されたハンガーフォード橋の鎖が転用されたことでも知られる。
建築的特徴
橋は、両岸に石造の塔を立て、その間に張り渡した錬鉄製の鎖から吊り材を垂らして桁を支える、典型的な吊橋の構造をもつ。両岸の塔は一見よく似るが、細部は異なり、左右対称ではない。ブルネルは当初、塔をエジプト風の意匠で飾り、スフィンクスを載せる装飾を構想していたが、これは実現しなかった。桁は81対・162本の垂直な錬鉄棒によって鎖から吊られている。
意義・現在
クリフトン吊橋は、鉄という新素材が土木と建築の前提を変えていく19世紀の技術革新を体現する記念碑的な橋である。英国の第一級指定建築物(グレードⅠ)に登録され、開通から160年を経た現在も車道橋として供用されている。峡谷に架かる優美な姿は絵はがきや観光の題材として親しまれ、ブリストルの都市イメージそのものとなっている。