パディントン駅 London Paddington station
ロンドン西部のターミナル駅。グレート・ウェスタン鉄道のために計画され、技師イザムバード・キングダム・ブルネルの設計で1854年に開業した、錬鉄とガラスの大屋根を架けるヴィクトリア朝鉄道建築の代表例である。
§1 — 概要概要
パディントン駅は、ロンドン西部のプラド街に位置する、グレート・ウェスタン鉄道(GWR)のターミナル駅である。1854年に開業した本屋は、技師イザムバード・キングダム・ブルネルが設計し、錬鉄とガラスによる大屋根を架けた、ヴィクトリア朝の鉄とガラスの建築を代表する駅舎として知られる。現在もイングランド西部・南ウェールズ方面への都市間輸送とヒースロー・エクスプレスの起点を担い、英国でも有数の利用者数をもつ。
歴史
GWR がロンドンに達したのは1838年で、当初はこの地に仮設の終着駅が置かれていた。技師長ブルネルは恒久的なターミナルの建設に着手し、1851年から工事を進めて1854年に現在の本屋を開業させた。鉄部の装飾的な意匠には建築家マシュー・ディグビー・ワイアットが協力し、技術と意匠の分業によって駅舎がまとめられた。1851年のロンドン万博で示された鉄とガラスの建築に通じる発想が、この大屋根にも生かされている。その後も利用の増加に応じて、1870年代・1910年代・1960年代に増築と改修が重ねられ、ホームと大屋根は段階的に拡張された。
建築的特徴
最大の見どころは、列車を覆う大屋根(列車庫)である。錬鉄のアーチ・トラスを連ねた三連のヴォールト屋根が、鋳鉄の柱列に支えられて長大な空間を覆う。柱や梁、欄間状の意匠にはムーア風・幾何学的な装飾が織り込まれ、純粋な構造体に華やぎを与えている。装飾と構造が一体となったこの大屋根は、鉄道という新しい建築課題に対する19世紀の解答を示す。
意義・現在
パディントン駅は、エンジニアリングと装飾が結びついたヴィクトリア朝鉄道建築の到達点として、英国の第一級指定建築物(Grade I)に指定されている。21世紀には地下を通るエリザベス線の駅が新設され、歴史的な大屋根と現代の駅機能が共存する結節点となった。童話「くまのパディントン」の名の由来としても親しまれ、都市の記憶と日常の交通を同時に担い続けている。