アゼルバイジャンの首都バクーに建つ、炎をかたどった三棟の超高層ビル群。米国の設計事務所HOKが手がけ、2007年に着工、2012年に完成した。最高棟は182メートル・39階。夜間にはLEDのメディア・ファサードが炎や国旗を映し出す。
§1 — 概要概要
フレイム・タワー(Flame Towers、Alov qüllələri)は、アゼルバイジャンの首都バクーに建つ、炎をかたどった三棟の超高層ビル群である。カスピ海を見下ろす丘の上に立ち、住宅・ホテル・オフィスの三つの用途を担う。その湾曲した姿は、地中から噴き出す天然ガスの炎と古代の拝火信仰に由来する「火の国」アゼルバイジャンのアイデンティティを、都市規模の造形へと昇華させたものである。
歴史
設計は、米国セントルイスに本拠を置く設計事務所HOKが担当し、施工はDIA Holdingsが設計施工方式で請け負った。石油・天然ガスの収益を背景にしたバクーの都市再生のなか、2007年に着工し、2012年に完成した。総工費はおよそ3億5000万ドルとされる。敷地が活断層帯に位置するため、三棟は同時に建設されながら、耐震を考慮した補強構造が採られた。同年10月に正式に開業している。
建築的特徴
三棟は共有の基壇から立ち上がり、それぞれ住宅・ホテル・オフィスの機能を担う。最も高い住宅棟は182メートル・39階に達し、ホテル棟はフェアモント・バクーとして客室を備える。各タワーの外皮は1万枚を超えるガラスパネルで覆われ、湾曲した炎の輪郭を形づくる。
最大の見どころは、外皮そのものを映像装置とするメディア・ファサードである。ガラスの方立のあいだに組み込まれた1万基を超えるLEDが、夜間に炎の揺らぎやアゼルバイジャン国旗、人影などのアニメーションを映し出し、旧市街の上にそびえる現代の摩天楼として街のどこからも望まれる。
意義・現在
フレイム・タワーは、古代の拝火信仰に根ざすアゼルバイジャンの文化的アイデンティティを、現代の素材と技術によって表現しようとした建築である。2012年にバクーで開催されたユーロビジョン・ソング・コンテストの際に国際的な注目を集め、以後はバクーの新しいスカイラインを象徴するランドマークとなっている。
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