アゼルバイジャン国立美術館 National Art Museum of Azerbaijan
バクー中心部の19世紀末の邸宅を用いた、アゼルバイジャン最大の美術館。石油業者デ・ブーレの館として1891〜95年に築かれたネオ・バロックの建物で、1951年から美術館として使われている。
§1 — 概要概要
アゼルバイジャン国立美術館(Azərbaycan Milli İncəsənət Muzeyi)は、首都バクーの中心部に立つ、同国最大の美術館である。建物はもともと、石油産業の隆盛に沸く19世紀末のバクーで建てられた邸宅であり、館蔵品は古代の工芸からアゼルバイジャン近現代の絵画、西欧・ロシア・東洋の美術まで一万五千点を超える。
歴史
美術館の主たる建物は、バクーの石油業者で「カスピ海商会」の創業者でもあったレフ・デ・ブーレの邸として、建築家ニコラウス・フォン・デア・ノンネの設計により1891年から1895年にかけて築かれた。施主のデ・ブーレは完成を待たずに没し、邸はカスピ海商会の所有へと移った。美術館そのものは1936年に州立博物館の美術部門から独立して設立され、翌1937年に最初の展覧会を開いたのち、1951年にこのデ・ブーレ邸へ移って現在に至る。2006年には大規模な修復が施された。
建築的特徴
建物は二階建てで、左右対称の古典的な構成をとるネオ・バロックの邸宅である。粗面の石材を用いた壁面にポルティコ(列柱玄関)や明快な水平の層分けが与えられ、周囲の建物との調和が図られている。内部は半円アーチやヴェネツィアの鏡など古典的な意匠でしつらえられ、石油資本のもたらした富とヨーロッパ趣味を物語る。2013年には、隣接する旧マリインスキー女学校の建物との間が、ガラスと金属による現代的な連結棟で結ばれた。
意義・現在
この館は、19世紀末のバクーが石油によって獲得した国際性と、それを背景に流入したヨーロッパ建築の様式を今に伝える。地域に根づいた在来の建築とは異なる、当時としては新しい都市の邸宅建築の一例でもある。現在はアゼルバイジャンの建造物記念物として保護され、国の美術コレクションを公開する中心的な文化施設となっている。